√D! (ページ11)

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鳥籠-黄緑ページ11

「っゔぁっ」

ヒュー、ヒューと音が響く。

「なんで……なんで分かってくれへんの！？！？
俺はこんなにAのこと愛しとるのに、好きで好きで大好きなのに……
なあA。他のモノ目に入れでもしたら……俺嫉妬でどうにかなってまう。
なあ、俺A殺したくないんよ。俺Aが居るから頑張れるんや」

「ぅあ……やッ、ごめ……」

男はA、と呼ばれた人に跨り、ギリギリと首を手で締め付ける。
男にAを殺す意図は無いが、それでも油断すれば意識を飛ばしそうになる。
空気が満足に吸えないからか、視界が暗くなっていく。

「謝罪が聞きたい訳じゃないんよ？
Aが、俺の用意した鳥籠にずっと居てくれるだけで…俺は幸せなんや。
いや、幸せやったんや。
俺がAと心中しない理由、分かるか？
Aが俺に笑いかけてくれるんを、ずっと待ってるからや。
なのに、なんでそんな俺を怖がるん？」

俺の方が、怖い。俺の方が、辛い。
毎日毎日Aが居るか不安で、俺を愛してくれているか心配で。
でもAはいつまで経っても、俺に愛想笑いすらしてくれんかった。
俺だけのA、俺だけの天使。
そうブツブツと呟く男を見て、Aはまた涙を溢す。

「ごめ、んね……ゾ、ム……し、んぱい……か……け……」

そう決死の思いで言うと、ゾム、と呼ばれた男は、パッと顔色を明るくした。

「……んふふ、Aが俺に……カハハっ。
ごめんな、首絞めて。跡残るかもなぁ……でも、俺が付けた奴やから…ふは、」

ニヤニヤと笑うゾムは、Aの首から手を離し、ぎゅっと抱きしめた。

「俺の鳥籠で、俺に笑いかけてや」

一生な。
そう付け足し、ゾムは幸せそうに笑った。