昏睡状態:1 ページ1
バタバタバタッ!!
深夜25時に慌ただしく廊下を駆ける看護師と医師達の姿が目立つ。
ここはシンジュク区で唯一の総合病院。
その中でも神宮寺寂雷率いる外科が一番忙しい。
・
看護師「先生!急患のお電話です!カブキチョウで20代男性がトラックにはねられて出血多量、昏睡状態です!」
寂雷「昏睡状態ね、分かったよ。
患者到着後すぐに手術をするから、みんなに伝えてくれるかい?」
看護師「はい、分かりました!」
先生の部屋から出て行く先輩看護師の背中を見送りながら、私、(花澤A)は横で眼鏡を白衣に仕舞う寂雷先生に目線を戻した。
「寂雷さん、」
寂雷「…話は分かったよ。でも残念だけど、
外科の担当看護師になったからには、
僕は君ばかりを贔屓するわけにはいかないんだ。
例え血縁関係の君でもね、」
眉を下げて落ち込む私を見て、ふぅ、と鼻息をこぼす。
寂雷さんは「すまないね」と言って私の頰を指で撫でる。
寂雷「そろそろ急患が到着する。後は頼んだよ、Aちゃん。」
そう言って(診察室)と書かれた寂雷先生の部屋から出て行った。
・
私は、先輩看護師とあまり上手くいっていない。
というのもどの病院でも、看護学科卒業の看護師は大抵先輩看護師による嫌がらせを経験するのだ。
分からないことを聞こうとしても、
《そんなこと私たちの時は自分で考えて解決してたわよ?》
などと言って全く後輩育成をしないのだ。
そして私は根暗でネガティブなせいで、しょっちゅう先輩から怒号を浴びせられる。
そのことについて、ここ外科の担当医でありトップであり、シンジュクディビジョン代表であり、私の従兄弟の寂雷さんに相談していたのだ。
が、メイン医師で多忙な寂雷さんの心には届かずあえなく私の叫びは散った。
私、頑張って働いてるつもりなんだけどなぁ…。
はぁ、とため息をついてすぐ。
寂雷先生の部屋の目の前にある受け付けセンターからナースコールの音が聞こえてきた。
今日の外科の夜勤は私1人。
急いで寂雷先生の部屋から私は飛び出した。
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作者名:K | 作成日時:2019年8月22日 1時