酒場のマスターはトリッパー (ページ16)

今日:10 hit、昨日:47 hit、合計:244,833 hit

15杯目ページ16

翌日の朝

店のドアがノックされたのを聞き、開けてみると

「すみません、お届けものです」

「え、は、ぇと、はい」

訳もわからずサインをして受け取った荷物は

「なに、このでっかい木箱は・・・」

流石に店のドア、ましてや裏口から入れられるものではなかったので外で蓋を外して中身を見た。

「これ・・・お酒？」

なんでお酒？私まだ住所もなにも教えてないのに・・・

「・・・これは考えるより聞いた方が早いな」

私は届いたお酒を店の中に入れながら二つ決心した。

一つ、これからミスターのとこに行くこと。

もう一つは、

文明の利器、スマホを買うこと。

「ミスターー！」

「は、はいっ⁉」

突然来た迷惑野郎に戸惑うミスター。

「あの、ミスターって私のことですか？」

「はい、勝手にそう呼んでます！」

心の中で。

「そんなことよりも！ついさっき私の店にお酒届いたんですけど、なんで場所わかったんですか⁉」

「取り敢えず落ち着いてください」

「す、すいません・・・」

私は一度深呼吸をして息を整えた。

落ち着いたのを確認したミスターは私に言った。

「最近噂になっている店の情報と同じだったので」

「噂・・・？」

確か太宰さんもそんなこと言ってたな。

「どんな噂ですか？」

「名前のない酒場、通称＂無名(むな)の酒場＂。
そこは場所すら曖昧で、何も知らずに辿りつくことは難しいとか」

よく客来たなぁ、おい

「よく今までお客さん来れたな・・・」

「まだ噂には続きがあるのです」

え、まだあんの？

ミスターは続けて言った。

「その酒場の前にはある男が立っていて、こちらに向かって手招きをしてくるとか」

え、

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

「怖っ‼‼⁉⁇」

なにそのホラー！

私友達がウザがるほどの恐怖症なんだよ‼

怖いわ！うちの店怖いわ‼⁉

「それにつられて人々は酒場に辿りつくそうですよ？」

ホントどうかしてるよその客達⁉

え、じゃあ僕君も？

あの人はもう存在がホラーだけど・・・ ←

ちょっとは怪しめよ・・・

(まぁ怪しんだ結果なんだろうなー)

「あの、うん、はい。ありがとうございました・・・」

「はい、これからもどうぞよろしくお願いいたします」(ニコッ)

何故かミスターの笑顔が怖く見える今日この頃。

私はミスターの店を出た。