-22-開戦の狼煙 ページ25
その夜、彼は今までにないほど優しかった。
その後も一緒に居てくれて、いろんな話をした。
とは言っても、Aが話しているのを静かにXANXUSが聞きたまに相槌を打つ程度だったが、それでもAは嬉しそうに、楽しそうに話をしていた。
そして共にベッドに入り、XANXUSは己の腕の中に彼女を抱き込みそっと額にキスを落として眠った。
今までのどんな夜よりも、暖かく、優しく、幸せだった。
その日が、二人で過ごす最後の夜になる事など知る由もなかった…
空が茜色に染まる頃…ヴァリアーの城に佇む黒い影が5つ。
「ししっ、早く行こーぜ！王子楽しみすぎて手が疼くぜ」
「落ち着きなさいなベル。焦らなくたって直ぐにいっぱい殺れるわよ」
「フン…落ち着きのないガキめ」
「僕らの時間が始まるよ」
「う"ぉぉおおおおいっ！！てめぇら！準備は出来てんだろぉなぁ！！」
待ちに待ったこの日と言わんばかりに昂りを見せるヴァリアー。
そして、炎とともにXANXUSが現れた。
「キュゥウウイッ！」
「行くぞ。ボンゴレを…ジジイを……この手で」
「「「「「si!」」」」」
大きく飛び上がった不死鳥に続き、黒い殺戮者達は闇に染まりゆく空へとその姿を溶け込ませて行った。
たった一人……冷たい空気を孕ませながらその姿を見送るオッタビオを除いて。
「……ああ、今向かった」
ガチャン…
「皆でこうして行く事になるなんて…」
「ししっ、俺姫と一緒に任務に行けるなんて嬉しいけどなっ！」
鳥化を解き、人の姿になって幹部達と共に木々を飛び進む。
「あのメガネ…何もしてないといいけど……」
「気にすること無いわよAちゃん。 何かしたとしても私達の計画に支障はないわ」
「うん……」
飛び行く彼らの視線の先に、目的の城が姿を現し始めた。
「A」
「任せて」
城の少し手前で止まる幹部達。その中一人城の方へ向かうA。
ボァァアアアッ！！
そして背に炎の翼を讃え、その手には炎の弓矢が持たれていた。
「天空の矢《フレッチャ・デル・チエーリ》！！」
空に放たれた矢が、夜の闇に流星の如くボンゴレ本部へと降り注ぐ。
そしてそれは……開戦の狼煙となった。
「行くぜぇぇえええ！！う"ぉぉおおおいっ！！！！」
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作者名：紅雪 | 作成日時：2019年4月7日 3時
