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辻村の憂鬱23 ページ33

その後ろには事務所が写っていた。


A『……』


Aさんが無言でピースした。


辻「忘れてました………」
綾「さっさと行くぞ」
辻「はい……」


大恥かいてしまった。
気をとりなおして記者から聞いてきた情報を話す。


辻「あれは井戸であって井戸ではない、“祠”なんだそうです」
綾「成る程な、驚くべき捜査力のなさだ。君は記者が話したことを聞いていただけだろう。で、その記者の名前は?」
辻「え?えーっと………確か鳥、なんとか」
綾「実に大した捜査力だな」


軽く吐き捨てられ、傷つく。
Aさんにもらった手鏡を開いて泣きつく。


辻「Aさん………」
A『記者の名刺を見れば………いいんじゃ』


記者の名前はどうでもいいんですけどね………ありがとうございます。名刺を確認したら鳥口だった。
ふと、誰もいないのに誰かに見られているような薄気味悪さを感じたためすたすた歩いていく先生を足早に追いかけた。


綾「ふん……これは興味深い」


綾辻先生は懐中時計をかざしてAさんにも周囲の様子を確認させている。
朽ちたしめ縄が二重になった古井戸。
宗教的なものは感じるが、異能の気配はまるでない。私もベテランの先輩には及ばないが異能に対する嗅覚くらいはある。


綾「十字路、川、井戸か。いよいよ“らしい”な」
A『………呪詛?』
綾「だろうな」


何を話しているのか全く分からない。


綾「辻村君、あれが見えるか?」
辻「これは、笹の葉、ですか?」
綾「何枚ある」


示された井戸の根元には虫に食われてはいるが大振りの笹の葉があった。


辻「いち、にぃ………四枚です」
綾「いちいち声に出さなければ数も数えられんのか、君は。何歳だ」
辻「私は子供じゃありません!女性に歳を聞くなんて失礼ですよ」
綾「それはどうでもいい。他には?」


他にはって………それ以外はない。砂利とか砂だけだ。


辻「それだけ、ですかね………」
綾「君からしたらそれだけなのかもしれんな。A、お前が気がついたことを言え。何でもいい」
A『………石がある………丸い紫の石』
辻「石ですか?」
A『その場所だと川の側の石はもっと尖ってる。丸い石はさらに下流から持ち込まれた可能性が高い………』


Aさんは鏡の向こうで地図を広げて言った。言われて井戸の根元を確認すると、確かに他とは違う丸い紫の石があった。


綾「全部で幾つだ?」
辻「ええと………六つあります」
綾「塩は?」
辻「へ?」

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乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね! (2019年8月17日 21時) (レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……オーマイガァー (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今15です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです!!私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年1月23日 16時

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