辻村の憂鬱20 ページ30
カタン、と音がしてドアが開いて白のワンピースを着たAさんが姿を見せた。
辻「おはようございます、Aさん。昨日はありがとうございました、報告書を作成してもらって、送ってまで」
A「どういたしまして」
軽く会釈だけしてかちゃかちゃと朝食の準備を始めたAさんを見ながら先生との会話を再開する。
辻「あ、そうだ。昨日の報告書なんですけど」
綾「報告書がどうかしたか」
辻「最後の犯人のセリフで、「私は絶対に捕まらないとあいつは言っていたのに」。
あれはどういう意味なんですか?」
綾「まあ、確かに示唆的なセリフだな。それがどうかしたか」
だって、それだと犯人以外に犯行を事前に知っていた人物がいることになる。
辻「どうしたって、これは犯人を事前に知っていた人間が他にもいたってことじゃないですか?」
綾「……」
辻「あれから市警が犯人の自宅を調べましたが、犯行計画の痕跡が驚くほど少ない。稀な殺害方法なのに事前に調査したり模索した記録も見つかりません。それどころかーーーーー」
綾「ある日付け以降」
だんまり決め込んでいた綾辻先生が口を挟んだ。
綾「教師の電話記録も帰りに寄り道した痕跡すらもぷつりと消えた。
違うか?」
確かに足取りが掴めなくなった時期がある。
辻「………12日前からです。気がついていたんですか?」
綾「ボツリヌス菌を殺人に使うには相当の知識が必要だが、国語教師一人で思いつけるものではない。
どう考えても協力者がいる。
悪の道に引きずり込んだ“教唆犯”がな」
辻「12日前……………」
その日に犯人と教唆犯は接触した可能性が高い。
12日前の足取りなら掴めている。
パソコンから報告書を呼び出して読み上げる。
辻「その日の犯人はいつもどおり近所の大衆食堂で夕食、車のGPS記録から帰宅途中に少し迷ったようですが、通ったのは市街地から離れた納屋や井戸しかない田舎道です。その日を最後に車、電話の利用もぱったりと」
綾「さすが特務課。
仕事が早いな」
褒められた〜!
辻「いやぁ、それほどでも」
ついついにやけると先生は鼻で笑いながら続けた。
綾「仕事が早いのは君以外の特務課員だ」
あー、腹がたつ!それを言ったら綾辻先生だって報告書Aさんに書かせたくせに!
辻「綾辻先生………教唆犯の件、気づいていたならどうして教えてくれなかったんです」
すると先生は不機嫌そうに論破してきた。
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乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね! (2019年8月17日 21時) (レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……オーマイガァー (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今15です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです!!私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年1月23日 16時