第272話:内緒 ページ36
「(それで……ついに今度デートすることに)」
「(きゃーーーー!!えええ、ドキドキするねぇ、そっかそっかぁ!)」
「(はい。私も、楽しみなんです。)」
「(良かったねぇぇ、私もなんだか嬉しいよぅ…!
…ところで、Aちゃん)」
「(はい?)」
「さっきから、なんで小声なの?」
「あっ、それは。」
デートすることになったのをさつきちゃんに報告している時の話。
周りに人がいないことをよく確認し、更にひそひそ声で喋る私に、彼女がハテナを浮かべながらも合わせつつ問う。
「赤司さんから、このことは身内に留めて、内密にって言われたんです。
伝える相手は限ること、その時は他に聞いている人がいないかを念入りに確認すること、って。」
私の交友関係を思い返してもこの話を振りまく相手も理由もないのだけど、なんだか彼にとって大事なことのようだったので、私も守ることを約束した。
「うーーーん?まあ、つい最近も色々あったし、2人でいる時に邪魔されたくないしってことなのかなぁ?
とりあえず、わたしももちろん誰にも言わないからね!
あとわたしに教えてくれてありがとう♡」
恋バナらしい恋バナが楽しいのか、頭を捻りながらもそう約束してくれるさつきちゃんは私の心強い味方だ。
「(それでそれで?行くところは決まってるの?)」
「(はい。最近夜にちょっとずつLINEでお話してて、赤司さんがいくつか提案してくれた中から2人で決めました。)」
もう一度辺りを見回してから、彼女に耳打ちでその場所を告げる。
「(……ふんふん、……おお〜!
いいじゃん、初デートの定番でもあって、落ち着いた雰囲気が2人に似合いそう!
そこなら人の目も気にしすぎないで楽しめると思うよ〜!)」
手で丸を作りながらウインクしてくるさつきちゃん。良かった、お墨付きをもらえた。
「(さすが赤司君、ロマンチックさも演出できつつ楽しめる場所を提案するあたり、気合いを感じるよ〜。
Aちゃん的には戦略は立ててるの?)」
「(戦略??)」
突然出てきた無骨なワードに首を傾げると、さつきちゃんが目の色を変えてガシッと私の両肩を掴む。
「(そうだよ!初デートだよ!?
相手が気合い入れて準備してくる以上、こっちも張り切って準備するべきだよっ!)」
な、なるほど。
初デートってそういうもの、なんだろうか。
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時