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第265話:ずる ページ29

Aのが移ったのか自分の体温も随分高くなって、いよいよ止まれない、と思った頃。




《キーーーンコーーーンカーーーンコーーーン……》





びく、と思わず2人同時に肩を揺らした。予鈴だ。
あと5分で授業が始まることを報せる鐘の音が、真面目な彼女の理性を呼び戻してしまう。
くそ、いい所なのに……


ぐずぐずに蕩けていた瞳に光が戻り、僕の背中を握り締めていた両手が離れていくーーーー





「ーーーう!?」





なぁんてね。
逃がす訳ないだろ。この状況で。


まったく君は、都合の悪いことは聞き逃す良い耳をお持ちのようで。

僕は「失神するまでキスする」と言っただろう。言ったからにはやるよ。
そのつもりで緑間にも言付けておいたのだから。


僕はAの両耳を手の平で隙間なくぴったりと塞いだ。
彼女から発される抗議の声と、僕の両手を剥がそうと引っ張る力は意に介さず。


予鈴?授業?知ったことか。

だって、楽しいのは、まだ。





「これから、だろう?」





僕の呟きは塞がれた彼女の耳には届いてないだろう。
けれど何かしら嫌な予感は感じ取ったらしく、ひゅっと顔を引き攣らせる。
本能的な危機察知だろう。正しい反応だ。



じゃあまあ、ここからちょっとだけズルをするけど、頑張って。


僕は短く息を吐くと、思いっきり、音を立てて彼女の唇に吸い付いた。







じゅるるるる!






「ッ!?!?

ッひ!?んぐ、うーーーーッ!」





いま、彼女の頭の中には物凄い音が響き渡っているだろう。
どこで得た知識だったか、耳を塞ぎながら口付けをすると、口内で鳴らした音が全て頭の中で響くという。
まるでイヤホンから爆音で流すように聞こえるのだとか。

反応を見る限り、効果は本当らしい。


彼女の、次に意識が集中するところ、力が抜けるところ、触って欲しくなるところ。

全部わかる。見えている。
「眼」でタイミングを見極め、絶妙に、的確に刺激する。


軟口蓋をつついて、頬の内側をじっとり擽り……強引に絡め取った舌を焦れったくなるほど優しく撫で、溢れた唾液を啜ってまた絡ませる。

耳を覆う僕の手を剥がそうと立てられた爪が手の甲を僅かに刺していたが、それもみるみる力を無くし、僕の手に添えられるだけ、むしろ上から押さえるような形になっている。

舌と唾液が絡む程に彼女の頭の中に響いているらしく、その度に肩や背中を震わせている。
もう殆どひっきりなしだ。

第266話:許容量→←第264話:溺れる



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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

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