朱に捕らわれば赤くなる６【赤司征十郎】 (ページ13)

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第249話：もう一つページ13

バスケ部と関わりすぎて忘れられているかもしれないけど、私は男子は基本的には苦手なのだ。特に体格が凄いという訳では無いけど、男子3人に囲まれたら同級生だろうとこわい。
反射的に体が固まってしまう。

「そんなビビらないでよ、この問題だけだから。
なんでこうなるか答え見ても分かんないんだよ」

トントン、とプリントを叩く人差し指に急かされる。

とにかく、ちゃんと教えられれば解放されるはず。
この後私は部室まで行かなきゃいけないし、怯えて黙ってる時間は無い。1問ならさくっと伝えてさっと離れよう。

…大丈夫、知人ではないけど、ただの同級生だ。
ちょっと急で驚いたけど別に全然、友好的じゃないか。

「……この問題は、主語がsheで三人称単数なので…」

＊

「あーーめっちゃ分かった、そういうことね！まじありがとうございます、てか超わかりやすいし」

「さすがっす」

大袈裟に手を叩いて礼を告げる3人に、いえそんな、恐縮です、と私も何故かペコペコ頭を下げる。

「じゃあ、私すみません、この後ちょっと行かなくちゃ」

「え、なんか用事？ごめんねそんな時に」

しまった、という顔をする3人に、こちらこそ勝手にビビって申し訳ないと心の中で謝りつつ、私の体は撤退モードで急ぎ立ち上がろうと試みる。

「ごめん、ついでなんだけどもう一個だけ質問していい？時間取らないから」

「？」

浮き上がりかけた腰を反射的に椅子に戻した私にずい、と顔を寄せてくる。
そのまま耳打ちするポーズと小声で彼が次に放った言葉には一瞬耳を疑った。

「彼氏とどこまで進んでる？」

「ーーーーーえっ」

今度こそ質問の意味が分からない。

彼氏？…と、どこまでって？
赤司さんのこと、だよね？

今まで全然違う、課題の話してたのに。

なに、？どういうこと？

「いや、普通に雑談だって！
気になってたから聞きたくて。

で、どうなの？」

強引に話を進めようとする彼の態度はさっきまでと全く変わりはなく、まるで課題の話の延長であるかのように私に答えを迫る。

「ご、ごめんなさい…私、そういう話はちょっと、」

「えーーダメーーー？
じゃあ、告ったのは？どっちから…って流石に赤司からかー？
や、でも想像つかねー。

んーーじゃ、いつから付き合ってんのか！それだけ教えてよ」

「……っ、」

追加の質問に答えをなお渋る私を見て、屈託ない同級生の笑顔を貼り付けたまま、またトントン、と机を指で叩く。