プロローグとしてのはじまり ページ1
『…疲れた…』
そう言いながら電車で帰る。
隣に座った社畜であろう髪の毛の薄くなったオジサンもぐったりしている。
《こうは、なりたくないねぇ…》
そんなことを考えつつ、好きなバンドの曲をイヤホンで流し込む。
だけど今日は早い方。
そう考えたら曲も自然と明るめのものになるし気分も上がるってもの。
明日は偶然休み、今日も早く上がれた。
テンションがあがってスーパーで梅酒なんか買っちゃって、明日は積み本でも溶かすかー。なんて。
家までの道でふと、気がついたら知らないお店が。
《あれ》
《こんなとこに、雑貨屋なんてあったっけ》
だけど心はまだ中二みたいな自分にとっては、アンティークとはまた擽られるものがある。
ドア横に立てられた看板には
【antique・bouteille】と
《なんて読むの…これ…》
文系大学を出ているとはいえ、何処の言葉かも分からないと太刀打ちなんて出来ない。
心にちょっとした敗北感を味わいながら引き戸を開ける。
ちりん
と綺麗な音と共に目に飛び込んで来たものはレジ前に座り、本を読むペストマスクと
夥しい数の瓶。
すると、ペストマスクが私に気付いたようで、本に栞を挟みこちらに歩んできた。
「どうもこんばんは、いらっしゃいませ、【antique・bouteille】へ。ここは瓶詰めのお店。気に入ったものがどうか見つかりますように」
【アンティーク・ブテイユ】、そう、彼(暫定)は言った。
『瓶詰め…?』
「はい、瓶詰めです。ここには様々なものが瓶詰めされています。お菓子だったりワインだったり、はたまた鑑賞用のものだったり。ですから、お客様の気に入るものがひとつは、あるはずですよ」
『そこまで、言うなら…』
そう言って少し棚の方へと視線を移す。
確かにお菓子が詰められた瓶だったり
石が詰められているものだったり。
『…あ、』
ふと、目についたのは、
『これ、人…?』
「お目が高い、それは人です」
『…やっぱり』
だけど妙に見捨てられなくて
それを感じ取ったかのようにペストマスクが聞いてきた
「…いいですよ、それ。お譲りします。もし良ければ、その瓶の持ち主になって頂けますか?」
あなたは持ち主になりますか?
▶はい
Yes
ラッキーカラー
あずきいろ
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汀(プロフ) - すぷらさん» こちらも沢山勉強させて頂きました…!!これからも更新楽しみにしています!!応援しています!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - !!見られていたなんて恥ずかしいです!!汀さんの文から勉強してもっと精進させていただきます!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
汀(プロフ) - すぷらさん» 返信が遅くなってしまいすみません!とても嬉しいお言葉をありがとうございます!実は私もこっそりすぷらさんの作品を拝見しており、モチベーションを保つひとつになっていました。本当にありがとうございました!!ぜひ次作もよろしくお願い致します!! (2018年9月26日 1時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 【追記】 汀さんの作品の更新はもはや私の作品の更新のモチベーションになっていて違う方向でもとても力を貸していただきました(笑)ありがとうございます! (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 完結、そして内定おめでとうこざいます。汀さんの作品はとっても素敵で大好きです。これからも汀さんの作品を読ませていただきます。お疲れ様でした。 (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汀 | 作成日時:2018年7月16日 20時