有言実行 ページ25
＿＿＿＿＿
「何で？確かに部屋にはいないかもしれないけど。」
なんなら待ち伏せしてやるつもりだ。
チームでわざと孤立する一星だって、野宿する程のサバイバル精神は持ち合わせていないだろう。
深夜になろうとも、いつか部屋に…寝床に戻ってくるに決まってる。
しかしタツヤの目の付け所は、そんな細かい作戦ではなく根本的なもので。
「前も言ったけど、紫音は一星に狙われてるんだ。今紫音から近付いて行ったら、向こうの思う壷だよ。」
「黙ってされるがままなのも腹が立つんだけど。結局嫌がらせされるんだったら正面から乗り込んで行って＿＿」
「もう一星の思い通りにはさせない。」
「え…？」
「やられっぱなしは俺だって嫌だ。まだ一星が紫音を陥れるつもりなら、今度こそ俺が止める。」
肩に手を置いたままくるっと紫音の体の向きを１８０°回転させ、タツヤは至近距離から彼女の目を覗き込む。
エメラルドとアメジストの宝石が互いの反射光を受けて輝き、紫音もたちまち目を逸らせなくなる。
「紫音は俺が守るよ。」
「……っ！」
近い近い。
紫音の頬が ぽっと赤く色付き、何か言おうと口を動かすが全て口パクになってしまう。
「……ちょっとカッコつけすぎたかな？」
自分で作り上げたムードを自分で壊して、タツヤが笑った。
流石に冗談混じりではあったようで、紫音も強ばっていた体から ふっと力が抜けたような気がした。
「ホントだよ。だけど、これが割とサマになるから何とも言えないんだな…。」
「言ったことは冗談じゃないからね。」
「有言実行だよ？」
「勿論。絶対守り抜いてみせるよ、紫音。」
「〜〜！そういうセリフは言われ慣れてないんだってば…！」
早速タツヤが紫音の部屋まで送ると言うので、申し訳なく思いながらもついて来て貰った。
何となく、この後風呂に行くと言ったら彼を困らせそうなので、今日は部屋のシャワーで済ませることにする。
自室のドアを閉める別れ際、引き戸を握る手を不自然に止めて紫音は言った。
「…一応頼りにしてるから。お休み！」
お休みの返事も聞く前に、紫音は乱暴に戸を閉めて話を遮り、スタスタと部屋の中へ歩いて行ってしまった。
一方的に話を切られたものの、タツヤは直ぐにその場からは動こうとせず。
「お休み、紫音。」
しっかり中に呼びかけてから自分の部屋に帰った。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
