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苦しみ ページ30

私を愛おしそうに
見つめる長谷部

「そう言えば、主にお願いがありました」

『お願い?』

なんだろうか…

今までされてきた事を思い出し
少し顔が強張る

「えぇ、聞いてくれますか?」

『まぁ…』

さっきのやり取りから
拒否権はないようにも思えるし

「良かった…」

安心したのか
ほっと胸を撫で下ろす

『それで…願いとは?』

「俺を出陣させてください」

出陣…?

予想外な言葉に
開いた口が塞がらない

「修行を経て、どれだけ力を得たのか
実戦で試したいのです」


確かに長谷部は
修行から帰って来て
雰囲気が変わった

どこかスッキリしたような顔をしていて
服装も全体的に黒くなっていた

『いいよ、でも隊長には
別の子をいれさせてね』

半信半疑の力では
まだ隊員を率いることは無理だろう

そのことは長谷部も承知していたのか
わかってくれた

「わかりました、ありがとうございます」

深々と頭を下げる長谷部

『長谷部さ…修業先で何かあった?』

ふと、気になったことを聞いてみる

「そうですね…今まで
心に突っかかっていたものが取れました」


それはきっと、前の主

信長様の事だろう

手紙にも少し内容書かれていた

「俺ちゃんと愛されていたんです」

『うん…』

「黒田家に下げ渡された理由を
前の主から聞き、ハッとしました」

声は嬉しそうだが
悲しいような顔をする長谷部

「理由が知れて良かったです
俺がもしこのまま知らなかったら
一生あの人を恨んでいたかもしれません」

そっか…

「でもそれはもう過去の話」


長谷部は吹っ切れたように話した


「俺の主は貴方しかいませんから」

私の手を取り
軽く口付けをする

「貴方にならへし切と呼ばれてもいい」

そのまま腕を引かれ
長谷部の胸の中に収まる

『長谷部でいいかな…はは』

今更呼び名を変えてもしっくりこないし

「そうですか…
では、主のお好きなように」

強く抱き締められる

まるで【逃がさないぞ】と
自由を奪われるように


『これからもよろしくお願いしますね、主』


甘さの裏に隠れた苦味(くるしみ)


幸せなんてない

隊長→←罪



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(プロフ) - 宙さん» ありがとうございます!素敵な作品だなんて光栄です>_<こちらこそ読んでいただきありがとうございました!! (2017年12月22日 22時) (レス) id: a4f3ccf7ff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 連載お疲れ様でした!ヤンデレ大好きなので悶え苦しみながら見させて貰いました!!素敵な作品を有難う御座いました(*´∀`*) (2017年12月22日 22時) (レス) id: a57b441503 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 木野真奈さん» 無事に完結いたしました!はは…やりかねませんねwありがとうございます! (2017年12月20日 17時) (レス) id: a4f3ccf7ff (このIDを非表示/違反報告)
木野真奈(プロフ) - 来れなかった間に終わってた・・・なんか、主さんが消えた後でショックすぎてみっちゃんが手当たり次第折りそうで怖い・・・お疲れ様でした次回作も読ませていただきます (2017年12月20日 16時) (レス) id: 088ecfe5cf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 有里雨さん» ありがとうございます!次作も頑張らせて頂きますね!こちらこそありがとうございました(*^^*) (2017年12月19日 0時) (レス) id: a4f3ccf7ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年11月2日 17時

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