カルテ45. ページ3
ある日、病院に一本の電話がかかってきた。
事務の方から、一ノ瀬さん、という方からのお電話です、と手渡されて、急いで通話を繋いだ。
『天月先生…?』
「うん。そらるさん、どうしたの?」
彼女じゃなくて驚いたようで、そらるの声はそれから数十秒ほど聞こえてこなかった。
言葉を選んでいるのだろうことは容易に想像できたから、次に喋るまで待っててやる。
『A先生に、まふまふに、みんなに会いたくなったなぁっていう話。…それだけ。』
彼にしては珍しい悲しそうな、寂しそうな、そんな声に思わずドキリとしてしまった。
彼にこちらのことを、自分の心を、見透かされている気分になる。
「…そっか。今、アメリカなんだよね。どう、調子は?」
『ぼちぼちかな。治療が大変な時はやっぱり体、動かせないし…。』
俺だけぼっち、なんてことは言わないあたりが如何にも彼らしい。
いつも気だるげなきまぐれネコだった彼は、グルーミングし合う仲間がいない真っ白な部屋で、一人小さく鳴いていたのだろう。
決して大きな声を出さないで、誰かに弱みを見せないように。
近くにいなくて、それなりの仲だった自分になら、話せると思ったのだろうか。
少しだけでも弱音を吐いてくれたことが、嬉しかった。
だけど、
「今、A先生は忙しいん、だけど、まふくん達になら、電話繋げられるよ。…どうする?」
真実を言えば、きっとそんな彼は崩れてしまう。
それだけは、避けたかった。
でも、聡い彼はきっと気付いてしまっただろう。
『…いい。きっとまふ達も大変だろうから。今度もしかけれるときあったらまたかける。』
じゃあね、と電話を切られ、聞こえるのは無機質な機械音だけだった。
濃いもやがかかったような気持ちになって、気分が悪くなる。
俺は、そのもやを払拭するために急いで事務の方に足を向けた。
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ようやく更新できた…!!!
順位、本当にありがとうございます!!!
…だがしかぁし!!!
まさかの期末テスト直前!!!
更新速度が落ちる可能性があります!!!本当にすみません!!!
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sake - 話、最高すぎます! 感激です。病気に関しても本当にあるものを使っていて、クオリティが高いなって思います。いつでも占ツクに帰って来てください。私は待ってます。 (2022年1月30日 1時) (レス) @page13 id: bea98890ed (このIDを非表示/違反報告)
凍華@ラ(プロフ) - あげもち☆さん» ありがとうございます…!! (2021年1月10日 16時) (レス) id: dc626b6004 (このIDを非表示/違反報告)
あげもち☆(プロフ) - とっても面白いです!これからも応援しています!勉強頑張って下さい! (2021年1月9日 16時) (レス) id: 943d9c8138 (このIDを非表示/違反報告)
凍華(プロフ) - まこでーす!さん» 全然大丈夫です!お気遣いありがとうございます…!! (2020年11月27日 23時) (レス) id: c3f81e4fc6 (このIDを非表示/違反報告)
まこでーす! - 間違えました。ごめんなさい。無理をしてまで更新をしないでくださいね!作者さんが第一ですから!追記勉強はお菓子を食べながらするとはかどりますよ!後もしさっきの間違えで傷ついたらごめんなさい (2020年11月27日 21時) (レス) id: aefe40f8eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凍華@ラ | 作成日時:2020年6月30日 22時