カルテ52. ページ13
まふまふが病室に戻ると、センラ以外は起きていた。
「センラくん、まだ起きない…?」
「あ、まふ、大丈夫やで。」
「センラここ最近眠り浅かったみたいで、天月先生に睡眠剤入れてもらったんだよ。」
昼前に倒れた原因は、彼の持病である続発性貧血だ。それは皆が分かっていた。
ただ、貧血というのは、悪化する原因が主に三つある。
1 栄養失調、2 睡眠不足、3 血液自体の不足
今回の彼は、睡眠不足だったようだ。
だとしたら、どうして睡眠不足になったりしたのだろうか。
彼は自分のことが一番よくわかっていて、基本の体調管理はしている。
「多分やけど、A先生のことやと思うわ。センラ、寝言で言うとったから…。」
志麻のベッドはセンラの隣で、静かな夜だと特に、彼の小さな寝言も聞こえるのだ。
考えすぎると、体調に影響する。
それが、この302号室の小さな患者たちだ。
「あ、そういえば、さっき先生の病室に行ったときにね……」
「新薬を入れて一週間ほど経過したけど、どうかな、彼方くん?」
「ぜんぜん大丈夫です。どこも痛くもないですし。」
「ならよかった。」
所変わって、アメリカ・ロサンゼルス。
渡米して一か月も経つ頃には、そらるは現地の唯一の日本人医師(担当医)と軽く話せるようになっていた。
治療が順調に進んでいる中、そんな彼の耳に、とうとう知らせが入った。
「あ、そういえば、彼方くん、君の元担当医、僕の従兄妹でね。この前彼女のことについて、母さんから連絡を受けたんだ。君には言っておいたほうがいいね。
事故に遭って、もう目を覚まさないかもしれないらしい。」
本当は、言わないほうがよかったのかもしれない。
それでも、言わなければいけないのだ。
覚悟を決める、そんな悠長にしていられない時がいつか来るかもしれない。
大人になったらそんなことばかりだ。
彼は幼いころから病を患っていたせいで、世間というものを垣間見れてすらいない。
それを、彼は教えようとしていた。
自分が悪者扱いされても、彼には強く生きてほしいから。
ーちゃんと大人になるんだぞ。
−お前は、Aは、どうか生きていてくれ。
どれだけ離れていようと、時差だって国境だってあっても、
人を思う気持ちは、
必ず届く。
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sake - 話、最高すぎます! 感激です。病気に関しても本当にあるものを使っていて、クオリティが高いなって思います。いつでも占ツクに帰って来てください。私は待ってます。 (2022年1月30日 1時) (レス) @page13 id: bea98890ed (このIDを非表示/違反報告)
凍華@ラ(プロフ) - あげもち☆さん» ありがとうございます…!! (2021年1月10日 16時) (レス) id: dc626b6004 (このIDを非表示/違反報告)
あげもち☆(プロフ) - とっても面白いです!これからも応援しています!勉強頑張って下さい! (2021年1月9日 16時) (レス) id: 943d9c8138 (このIDを非表示/違反報告)
凍華(プロフ) - まこでーす!さん» 全然大丈夫です!お気遣いありがとうございます…!! (2020年11月27日 23時) (レス) id: c3f81e4fc6 (このIDを非表示/違反報告)
まこでーす! - 間違えました。ごめんなさい。無理をしてまで更新をしないでくださいね!作者さんが第一ですから!追記勉強はお菓子を食べながらするとはかどりますよ!後もしさっきの間違えで傷ついたらごめんなさい (2020年11月27日 21時) (レス) id: aefe40f8eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凍華@ラ | 作成日時:2020年6月30日 22時