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十二 ページ13

「宇髄、俺はもう末期かもしれん」
「は?」

隣で爆弾の調整をしている宇髄に、俺は思い切って相談した。
もう自分ではどうにもできない。

「ここ1、2年ほど、ずっとAが近くにいる気がするんだ」
「おー、おすすめの病院紹介しておくか?」
「たのむ…」

正直何科に行けばいいのかわからんが。
精神なのか頭なのか耳なのか。全部診てもらった方がいいのか。

「近くに、って例えばどんな時に感じるんだ?」
「そうだな…ここから少し離れたところに大学があるだろう?その隣のデパートでよく気配がする」
「気配ってなんだよ」

気配は気配としか言いようがない。

あの日初めてAがいた気がしたデパート。Aの気配を意識し始めたのはこの時からだ。
今までそのデパートには全く行っていなかったが、Aがいるなら話は別だ。

また行ってみればわかるだろうかと思い、休日は様子を見に行っていた。
すると、するんだ。気配が。

きっといるのだと確信し、さらに探し続けた。
だが見つからない。
見つけた、と思った時には何故かもう見当たらない。やはり幻覚なのか…。

「よく行くコンビニにAという店員がいるらしいんだが、時間帯が合わないのか全く姿が見えない」
「お、そいつ本物じゃねぇのか?」
「ああ、声も一瞬しか聞こえなかったが彼女に似ていた。
ただもう俺には正常な判断が出来ん。
正直道端で聞こえる声は大体Aの声に変換されている」
「お前マジでやべぇぞ…」
「男女構わずだ」
「正気か?」
「すまん、これは冗談だ」
「やめろよ、今のお前じゃガチか冗談かの区別がつかねーから」

Aが恋しい。
早く姿を見せてくれ。でないと俺は狂ってしまう自信がある。

「他には?」
「家の中でもAの姿が見えるし声が聞こえる!」
「よし決まりだ、病院行け」

やはり宇髄から見ても俺はまずい状態らしい。
今まではここまで酷くなかったはずなのだが、そろそろ限界がきているということだろうか。

今は仕事に支障は出ていないので大丈夫だがいずれは出そうだ。

「しっかりしろよ、煉獄先生」
「そろそろ実習生も来る時期だしなァ」
「ああ、そうだったな!」

教師になってもう3年が経つ。自分が実習生として学校を訪れたのが懐かしい。

「今年の実習生に骨のある奴はいっかなァ」
「ちったぁ派手な奴が来て欲しいわ。去年は全員挫折したからな。うちの生徒が暴れすぎて」
「それを言うなら宇髄の暴走も原因だな!」

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ナキサ(プロフ) - 飛鳥さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございました! (2021年11月22日 19時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - ものすごい大作に出会ってしまいました……ありがとうございますありがとうございます… (2021年11月22日 9時) (レス) id: d3040dc27e (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - あまねさん» 読んでくださりありがとうございます!楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。 (2021年11月15日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年11月14日 9時) (レス) @page23 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - meruriさん» コメントありがとうございます!感動していただけれ嬉しいです (2021年10月28日 22時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2021年3月5日 14時

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