【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

伍拾捌 ページ10

『大丈夫です、すぐに応援が来ますからねー。
落ち着いてくださいねー』

汽車に乗っていた乗客達に声を掛けていく。
中には横転した列車に下敷きにされている人もいた。

『今抜きますから』

その人達の手を握り引っ張る。
うぅ、痛いよね。耐えてくれ。

『怪我人は多いけど、死者はゼロか』

よかった。
原作通り、乗客全員無事だ。

…ただ問題はここからか。
いつ上弦の参が来るか。

『怪我人はこちらへ！』

応急処置だが手当もしていく。
ここで死なせてしまってはいけない。しっかり守りきらなければ。

何十人かの手当をする。

『よし、これで怪我人はこの人で最後…、ッ！！』

ドォンッ！

遠くの方から聞こえた大きな音。
肌で感じる。

この威圧感、間違いなく…上弦の参だ。

しかし、先にこの人の手当だ。
大丈夫、猗窩座は鬼にならないかbotなので勧誘しているはず。
時間はある。

「な、なんだ今の音？」
『大丈夫ですよ、気にすることはありませんからね』
「は、はい」

にこ、と笑えば男の人は顔を赤くした。
うんうん、心配しないでくれ。ちゃんと守りきるから。

『よし、終わりです。頑張りましたね』
「はいっ、ありがとうございます」
『いえいえ』

…さて、気を引き締めていくか。
少し時間が取られてしまった。急がねば。

全速力で駆け抜けた。

「破壊殺・乱式」
『夜の呼吸 陸ノ型＿＿夜凪』

物凄い拳の突きだ。衝撃波が強い。
まともに受けると力勝負で私が不利だ。
受け流すのが必須だな。

『大丈夫ですか、煉獄さん』
「ああ、無事だ！」

煉獄さんの怪我はかすり傷、深刻なものではない。

「次々と強者が現れる、いい夜だ！
今の技はなんだ、初めて見たぞ！
お前も柱だな？その闘気、至高の領域に近い。
…ただ女なのが残念だ」

高揚した様子の猗窩座だが、少し複雑そうな表情を見せた。

そういえば女は食わないんだっけ。
まぁ剣士相手なら女でも闘うくらいするだろう。

「俺の名は猗窩座。お前の名を聞かせてくれ」

名前か…名乗りたくないけど煉獄さんも名乗ってたしな…。

『夜柱、AAと申します』
「A？そうか、お前があいつが言っていた…」
『…？あぁ、あいつか、うん…』

苦虫を噛み潰したような顔でそう呟く。
猗窩座の嫌そうな顔を見るに、きっと“あいつ”とは童磨のことだろう。
私もつい同じ表情をしてしまった。
それを煉獄さんは不思議そうに見ている。

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