玖拾弐 ページ45
『…あー、』
今何が起こっているのかを、耳で聞き肌で感じ、把握する。
いくら時間が経っても、進展は無いようだった。
『やっぱり、ねー…』
はぁ、と溜息を吐いて、私はそう呟いた。
考えたことがあるんだ。
このまま“誰も死なせない”という目標を掲げていいのかと。
人の死というものは、良くも悪くも力がある。
最後に鬼になった炭治郎は、死んだ人達の思いが後押しがあったから、人間に戻れたのだ。
もしその後押しがなければどうなるか。
炭治郎は頸を斬っても死なず、太陽の光でも死なず、理性を無くし、人を喰らう最恐の鬼となる。
私は、鬼殺隊を破滅へと向かわせているのではないか?
それだけはダメだ、それだけは。
みんなが生き残らなければ。
たとえ痣が出来て、25歳までしか生きられぬとも、その残りの人生を幸せに送ってほしい。
それだけが私の願い。
私が、責任を負わなければ。
それが死ぬことであったとしても。
「A、君はまだ、」
『大丈夫ですよ、煉獄さん。もう戦えます』
にこ、と笑ってみせると、煉獄さんは少し黙って、そうかと返した。
止めたい、と顔に書いてあるけど。
止められてもやるぞ、私は。
『そこで皆さんにお願いなんですが、少しだけでいいので隙を作ってくれませんか』
「あァ?何か解決策でもできたのか!」
『そんなところです、うまくいけばいいのですが』
そーいうことなら、と1番に技を出して乗っかってきたのは風柱。
それに乗じて皆私のお願いの為に技を出してくれる。
__見えた、僅かな隙。
私には鬼の血が受け継がれてるんでしょう。
なら使える筈じゃんね。
そう。
『血鬼術』
「…はっ?」
ぶわっと風が巻き起こる。
なんだか心地いい風だ。そうだ、夜の風。
数人、こっちを見て驚いてるみたい。外見変わってたりするかな?でも鬼の血薄いらしいしなぁ…。
『終ノ章』
ぐるぐるととんでもないスピードで血が巡っている感覚。
気持ち悪いような、高揚するような。
上手くいくかな。…いかないと困る。
本番一発勝負だ。
緊張、というよりも、なんだか興奮してる。
心臓がバクバク音が煩くなって、苦しくて、ちょっと泣きそうだ。
大丈夫、大丈夫。もう悔いはない。私の好きな人全員、生きてるから
幸せだった。ここに来れてよかった。
そっと、笑みを浮かべた。
『黎明の果て』
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Haruka(プロフ) - 煉獄さん推しなのでとても感動しました。 (2021年9月10日 22時) (レス) id: c2932dcf70 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - 蓬莱寺さん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2021年1月12日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - すみっコぐらし好きの隅華(仮)さん» すみません、中々時間が取れなくて…!!続きを待ってくれているのはとても嬉しいです、ありがとうございます! (2021年1月12日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
蓬莱寺(プロフ) - 続き気になります。更新楽しみにしてます (2021年1月12日 8時) (レス) id: de353d3df7 (このIDを非表示/違反報告)
すみっコぐらし好きの隅華(仮) - 早く更新して下さい!お願いします!m(_ _)m (2021年1月6日 20時) (レス) id: d6919b39a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年12月19日 2時