【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

捌拾伍 ページ38

ふ、と体の力を抜き、熱を逃がす。
その瞬間、時が動き始めた。

「！何が…。！？」

黒死牟の体に突き刺さる時透くんの刀が、みるみるうちに赤くなっていく。

きっと今黒死牟は内臓を焼きつけるような激痛が走っているだろう。

それを見た悲鳴嶼さんと不死川さん、時透くんは追撃していく。

私も震える体に鞭を打って、走る。
…終ノ型で、少し疲れたみたいだ。
でも、それでも刀を振る。

隙が、できた。

『今！！』

悲鳴嶼さんが鉄球をぶつける。
しかしそれでも耐える黒死牟。

頚を斬り切れないを悲鳴嶼さんの鉄球を不死川さんが上から刀で叩く。

そのまま、黒死牟の頚を斬り落とした。

…まだ、油断はできない。
原作通りなら、黒死牟は。

『消滅しない…！』
「攻撃の手を止めるな！！畳み掛けろ！！」
「上等だゴラァ！！消えてなくなるまで刻んでやらァ！！！」

風の呼吸 捌ノ型＿＿初烈風斬り
岩の呼吸 伍ノ型＿＿瓦輪刑部
霞の呼吸 弐ノ型＿＿八重霞

次々と攻撃を当てていくが、消滅どころか頭まで再生し始めた。
バケモノにような風貌へと変化して。

しかし、動きを止めた。その視線は不死川さんの刀に映った自分に向けていた。

時透くんが刺した箇所から体が崩れていく。
再生した頸をもう1度斬り落とした。

今度こそ、黒死牟の体は崩れていった。

『…っ…』

ガクン、と膝から崩れ落ちた。
ふーっ、と息を荒くしながら、なんとか体力を取り戻そうとする。
終ノ型のおかげで皆を守れたが…なんとも諸刃に剣というか。

あまり多用はしたくない辛さだ。
負担が大きすぎる。

「A…平気か」
『はい、悲鳴嶼さんも大丈夫ですか』
「ああ、ここにいるもの皆無事だ」

それは、良かった。
原作で死ぬはずの時透くんと玄弥くんが生きている。悲鳴嶼さんも痣を出さずにすんでいる。

それだけで頑張った甲斐があるというものだ。

しかし安心はしていられない。
もうすぐで無惨が復活するだろう。

珠世様が心配だったが、鴉の伝達によると、隙を見て煉獄さんが助けていたらしい。
そのお陰で無惨に巻き込まれずにすんだ。

煉獄さんに珠世様を紹介しておいてよかった。

一般隊士が大量虐殺されることももう既にお館様に話してある。

未来を知っていること、それをお館様にだけは話した。

きっとうまく采配してくださっているだろう。

『ふーっ、…行きましょう』

大きく息を吐いて、多少回復した体で立ち上がる。この分ならあと2回くらいは終ノ型を使えそうだ。

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