【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

陸拾弐 ページ15

時は進み四ヶ月後。

私は体温を上げることで調子が良くなるところまではいった。しかし痣がまだでていない。

ただ、時折相手が透けて見えるような、不思議な感覚がある。内臓、筋肉。それらが見える。

…これって“透き通る世界”一歩手前だろうか。
あと少しでなにか掴めそうな気がする。

それに、前に比べて格段に相手の動きが遅く見えるようになった。

「アオイさんたちを放せ、この人さらいめ！」
「てめーらコラ、誰に口効いてんだコラ！俺は上官、柱だぞこの野郎」
「お前を柱とは認めない！むんっ」
「むんじゃねーよ、お前が認めないから何なんだよ！？」

善逸や伊之助も止め始めた。
遊郭編が始まったかぁ。
てかこれ私も止めた方がいいんですかね…。

『とうとう犯罪者に転職ですか、宇髄さん』
「Aさん！」
「誰が犯罪者だよ」

人攫いは充分犯罪者だよ。嫁さんが危険で焦ってるのはわかるけどさ。

宇髄さんはふと何かを考え、私に言う。

「…丁度いい、お前今任務入ってるか」
『いえ』
「ならお前も来い」
『いいですよ』

お前らも一緒に来い、とかまぼこ隊に向かって言い放つ。
…思ったけどあの化粧私もされんのか？

「で？どこ行くんだオッさん」

「日本一色と欲に塗れたド派手な場所。
鬼の棲む遊郭だよ」









「Aお前、気配と色気出せ」
『出る時になったら出ますって』
「今出せよ。潜入する気あんのか」

私は溜息を吐いた。
実は四人の中で最後に残ったの、私です。
すまん遊郭とか初めてだし緊張すんだよ！！
気配隠しちゃうんだよ！！！

あ、化粧はしのぶさんにやってもらいました。えへへ、いいでしょう。

「お前派手な顔だしすぐ売れるだろ。何処がいい」
『えぇ…』

炭治郎がいる、ときと屋。
伊之助がいる、荻本屋。
善逸がいる、京極屋。

ちなみに上弦である蕨姫がいるのは京極屋だった筈だ。

いきなり柱の私が上弦と接触するのもな。怪しまれる。

『ときと屋にします』
「分かった」

そうして宇髄さんと、ときと屋に向かう。

「女将さん、この子どうだ？」
「この子？」

女将の視線が私に向けられる。
宇髄さんに肘で小突かれた。

はいはい。

『あ、あの、私…』

上目遣いで不安な表情を作る。

「買った！！」

なんか上手くいった。

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