【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】

捌 《煉獄視点》 ページ10

強い少女だ、と思った。









いつも通り鎹烏から任務を伝達され、鬼を討伐した帰り。

「カァ！！鬼ニ襲ワレテイル少女ヲ見ツケタ！！」
「何？それはどこだ！」
「コッチ！！」

鎹烏の誘導に従い森を駆け抜ける。
こんなところに少女が…？

鬼の有無に関わらず危険だ。
こんな夜に、随分と危機管理能力が低い少女らしい。

暫く走っていると、ふと鬼の気配を感じた。

「いい加減諦めて喰われろ！！」

そんな声が聞いて誰か人がいるのだと確信する。

そちらの方へ走ると鬼と少女の姿が見えた。
鬼はボロボロで、血で塗れた少女へ今にも襲いかかろうとしている。

『あは、死んだ』

小さく呟いた少女は、今にも消えそうな美しい笑みを浮かべていた。






＿＿＿＿＿死なせるものか！



思い切り息を吸い込み、刀を構えた。

「炎の呼吸 壱ノ型！不知火！！！！」

大きく踏み込み、刀を振るう。
鬼の牙が少女へ届く前に、鬼の頸を落とした。

…間に合った！


少女は突然現れた俺に驚いているようだった。

「遅れてすまない！！君、大丈夫か！！」

そう声はかけたが、大丈夫でないのは明らかだ。なにしろ出血が多すぎる。

倒れ込む少女をゆっくり仰向けにする。
まずは止血だな、包帯をたまたま所持していてよかった。
応急処置だが無いよりは格段にマシだろう。

『あ、の、私…』
「喋らない方がいい」

何かを伝えようとする少女を止める。無理をさせてはいけない。

大丈夫だと励ますと、彼女は安心した様に体から力を抜いた。

「安心して眠るといい！君は責任を持って俺が蝶屋敷へ連れていこう！」

少女は既に眠っていて、俺の声が届いたかは不明だ。

「蝶屋敷へ連絡を頼む！」

鎹烏にそう頼み、俺は少女を抱きかかえて蝶屋敷へと急いで向かった。

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