参拾玖 ページ41
「あれ…？」
童磨が首を傾げる。
それを見て私は人知れず微笑んだ。
あれから数時間が経った。
童磨への攻撃は届きはするものの、致命傷には及ばない。すぐに再生されてしまう。
逆に、私とカナエさんは傷だらけだった。
凍傷もひどい。
けれど、それでいい。まだ生きているのなら。
『夜の呼吸 壱ノ型__寂静の零時』
「花の呼吸 伍ノ型__徒の芍薬」
「おっと」
二人連続で斬り掛かるも避けられてしまう。
しかし童磨の動きは鈍い。
「うーん…やっぱりおかしいなぁ。
君達、何かした？」
『ああ、やっと気づいたんですね』
私が握る刀が妖しく光る。
実は刀には毒を仕込んであった。
じわりじわりと侵していく、遅効性の毒を。
『夜の呼吸 弐ノ型__夜神楽』
「！血鬼術…」
血鬼術の発動も確実に遅くなっている。
「再生力も落ちているわ…！」
カナエさんも驚いたように、しかし流石花柱。
隙を逃さず頸を狙う。
これなら夜明けまでいける。耐えられる。
戦況は今私たちに傾き始めている。
＿＿Aさん、これを。
そう言って珠世様は、液体の入った瓶を渡す。
『これは…』
「完成した藤の毒です。まだまだ改良は必要ですが…。
効くのは遅いですが、その分相手に気づかれないようになっています。
ただ、上弦にどこまで通用するかは分かりません」
『いいえ、十分です』
二年前。
実は私は珠世様と接触していた。
藤から毒を開発すれば、鬼殺隊は大きな力を手に入れられる筈だとお館様に話し、元々様子見していた珠世様に協力を要請した。
本当はしのぶさんにも知らせて共同で開発して欲しかったのだが、まだ鬼に対する気持ちを整理できていない気がした。
珠世様に斬りかかってしまえば今後の協力は難しくなる。
『ありがとうございます、協力していただいて』
「いいえ、礼を言うのはこちらの方ですよ。
私だけでは鬼舞辻を倒すことはできません。協力を申し出たいのは私の方でしたから」
美しい笑みで珠世様は言った。
『夜の呼吸 伍ノ型__闇夜の一刻』
刀を振る。振る。振り続ける。
腕が凍ろうとも、足が切り裂かれようとも。
負けない。死ねない。
カナエさんを生きて帰すんだ。
しのぶさんを悲しませる訳にはいかない。
苦しませる訳にはいかないから。
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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます！励みになります！ (2020年12月17日 11時) (
レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです！大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます！夜はいいですよね！ (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ！？私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます！！煉獄さんに会いたいですよね！！更新頑張ります！ (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2020年11月28日 20時
