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参拾参 《煉獄視点》 ページ35

「よもや…」

俺は自分の目を疑った。



長期の任務で、久しぶりに家に帰った俺は、嬉しそうな表情をした千寿郎に迎えられた。

「兄上に見せたいものがあるんです!」
「む。見せたいものか?」
「庭です、こっちですっ」

千寿郎ははしゃいだ様子で、俺を庭へと急かした。

そうして庭に着いた時、俺は目の前の光景が信じられなかった。

「父上が、刀を握っている…」

父上とAは打ち合いをしていた。
父上は刀を持って、嬉嬉として稽古をつけている。

「さっさと立て」
『ちょ、ちょっと待ってください容赦無さすぎませんか』
「まだ加減してる方だ」
『うわぁっ!?急に斬りかかります普通!?』

Aはすでにボロボロで、長い間訓練していたのがわかる。

『あ、煉獄さん!おかえりなさい』
「うむ、ただいま帰った!」

Aは泥のついた顔で笑った。
父上はこちらを一瞥した後すぐに刀を振る。

「まだ終わっておらん」
『いや、今のは終わる雰囲気でした、次は煉獄さんの番ってなるところでしょう!』
「杏寿郎はお前が終わってからだ」
「!」

お前もさっさと準備をしてこい。

父上にそう告げられ、胸が熱くなる。

いつ頃だったか、酒に耽り、部屋に篭ってしまうようになってしまった父上。
何度も説得したが俺の言葉では父上には響かず、いつしか諦めていた。

しかしそれが今、元の姿に戻ろうとしている。

…Aのお陰だ。
父上が酒を控えるようになったのも、
一緒の食卓を囲んで食事をとるようになったのも、
刀を握るようになったのも。

Aには感謝してもしきれない。

「はい!!すぐに準備して参ります!!」
『は、はやく、はやくしてください煉獄さん』

今も父上の一振りに必死に対処しているAは、切羽詰まった様子で呟いた。

父上は相変わらず厳しいようだ。
うむ、これはAの為にも早く済ませなければならない!急ごう!

何より、久しぶりの父上の稽古に、俺も心踊っているからな!

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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時

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