拾捌 ページ20
1ヵ月が経ちました。
常中は睡眠時以外は出来てます。
寝てる間はやっぱ協力が必要だね。たたき起こしてもらわないと…。
走るスピードは相当速くなった。自慢できるレベル。いや慢心はダメだけど。
これは実は真菰ちゃんと錆兎にも鍛えられたんだ。
まぁ二人とのきゃっきゃうふふ(遠い目)エピソードはまたの機会に。
そして、私が最終選別へ行くことを認められかどうかは、今日に決まる。
「A」
『はい』
鱗滝さんは真っ直ぐ私を見る。
そしてゆっくりと話し始めた。
「…最終選別へ行くことを、許可する」
『本当ですか！』
その言葉に喜びと安心が湧き上がる。
鬼殺隊に入る機会は得た。
これで私も、人を助けるんだ。
そんな気持ちが浮かび上がる中、鱗滝さんは話を続ける。
「A、本当は儂はお前を最終選別へは行かせたくなかった」
『…！』
重い口調でそう話す鱗滝さんに、事情を知っている私はどうしても胸が苦しくなった。
鱗滝さんは私を抱き締め、頭を優しく強く撫でる。
「しかし、お前は強くなった。
Aなら生き残ると、信じている」
『鱗滝、さん』
暖かい手だった。
腰に回した腕に力が入るのが自分でも分かった。
『絶対、生き残って、帰ってきます』
鱗滝さんの腕に力が入った。
この人が悲しまないように。絶対に生き残る。
そう私は決意した。
今夜は星が降るような空だった。欠けた月は優しく夜を照らしている。
明日には出発するのだと、そう思うと少し眠れなかった。
…今頃、令和では私はどういう扱いになっているのだろう。行方不明だろうか。
お母さんは泣いているだろうか。…いや、きっと泣いている。
お父さんはあまり泣かない人だけど、過保護な所もあるからやっぱり心配だ。
「A、眠れないか」
『はい、少し』
様子を見に来た鱗滝さんは、少し私を見た。
匂いに鋭いから、私の感情を察したのかもしれない。
「眠れずとも、横に寝るだけ楽になる。…もう寝なさい」
『…はい』
お母さん、お父さん。ごめんなさい。
私はこれから危険な道へ進みます。
自分の命を懸けて、人の命を助ける道です。
貰った愛情を何かで返したわけもなく、別の世界で人生を歩もうとしている。
そんな親不孝な娘です。
けれど、私はやり遂げてみせます。
強くなって、みせますから。
涙はまだ出なかった。
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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます！励みになります！ (2020年12月17日 11時) (
レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです！大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます！夜はいいですよね！ (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ！？私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます！！煉獄さんに会いたいですよね！！更新頑張ります！ (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2020年11月28日 20時
