【短編集】誰かと甘いひとときを2【仮面ライダー・戦隊】

〇守備範囲外なので結構デス【K/垓】 ページ27

瑠花さん、リクエストありがとうございます！




私は松木莉乃。飛電インテリジェンスで働く一般女性23歳。目下のお悩みは、今目の前にドヤ顔で座っているコイツ。

「いい加減にしてくれませんか、天津社長。」
「あなたの方こそ、いい加減、私のところに来てはどうです？」

誰がいくかバーカと思いつつ、口ではちゃんと「丁重にお断りいたします」と言っておく。

いま飛電はこいつが社長を勤めるZAIAエンタープライズとお仕事五番勝負をしている真っ最中。

それだというのにこの社長、飛電と対談をすると毎度の如く私のもとへちょっかいをかけにくる。
しかも、いつもいつも美人秘書を従えて、だ。

「全く…いつになったらあなたをものにできるのか…。」
「残念ながら私の忠誠は飛電インテリジェンスのみにありますので。」

そう言うと天津垓は「あなたを手に入れるのは、飛電にお仕事五番勝負で勝つより難しそうだ。」と喉を鳴らして笑いながら帰っていった。

「いつも、うちの社長が申し訳ありません…。」
「刃さんも大変ですね…。A.I.M.S.にいたころは不破さんのお守り、ZAIAに戻れば社長のお守り…。お察しします。」

遠くなる天津垓の背中を見つめながら、私は刃さんに最大限の労いをかけた。あのしつこい社長は大嫌いだが、刃さんに罪はない。むしろ被害者。

「あれ、莉乃こんなとこでどうしたの？」
「あ、或人社長！お疲れ様です！」

通りかかったのは我らが飛電インテリジェンス社長の飛電或人。後ろにはイズちゃんの姿も見える。

「俺は外回りの帰りだけど…、なんかあったのか？」
「いやぁ…またしつこく声かけられただけですよ。」

ヒューマギアだけでなく人間社員にもここまでの気遣い。やっぱりあの天津垓とは比べ物にならない。

「そっか…天津垓も懲りないなぁ…。」
「或人社長、そろそろなにか策を打ってはいかがでしょうか。」
「あぁ！いえいえそんな！私のことは平気です！」

イズちゃんの提案と或人社長のお心遣いを丁重に願い下げする。私ひとりのために、ご迷惑はかけられない。特にいまはZAIAとの対決も気の抜けない状況なのだ。

「そう？でも、なにかあったらいつでも俺やイズに相談してくれ。莉乃だって、だいっじなうちの社員なんだから！」
「ありがとうございます或人社長！」

どんな社員にも平等。そんな我社の社長に癒されて、私は仕事へ戻った。

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