貴方に助けられたその日から【キングダム】

第11話 ページ11

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「ところで王様、なんでこんな所で追われてんの？」


河了貂と信の言い合いを贏政様が止めると、ふと思い出したかのように河了貂がそう尋ねた。

河了貂は山の民の一族。
今回の内乱を知らなくても不思議ではない。


「弟が反乱を起こしたんだってよ。醜い兄弟だぜ」


「お前、贏政様を侮辱したな…？」


キッと信を睨む。

成蟜はどうでもよいが、贏政様を侮辱することは許さない。

元々こいつの態度には問題がある。

それを贏政様は見過ごしてくださってるというのに…


「事実だろ！」


「贏政様は醜くなどない。本当は今すぐにでも侮辱罪でお前の首を跳ねることが出来るんだぞ」


「やってみろよ！」


「A、そいつが何を言おうと構うな」


贏政様の言葉に抜きかけていた剣を再び収めた。

何故贏政様はこいつの無礼を許すのだ。


「でも変じゃね？反乱が起こるのを知ってたから替え玉まで用意して黒卑村に隠れてたんだろ？
…知ってたんなら反乱が起こる前に叩き潰せばいーじゃん！
なんでそんなに逃げ腰なんだよ、王様」


逃げ腰、という表現は気に食わないが、確かに何も知らない者は疑問に思うだろう。


河了貂の言葉に、「それは…」と口を開きかけた時だった。


「貂！」


今まで何も言わなかった贏政様がそう言葉を放った。

河了貂が驚いて信の後ろに隠れる。


「俺が反乱を止められなかったのは、俺に力がなかったからだ」


贏政様は淡々と語りだした。
私が今まで見てきた、贏政様の生い立ちについてを。




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