店長がお呼びです。

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村上店長side


テーブルの下。


プレゼントあるんでしょ？！

なんでさっさと渡さないの？


と言わんばかりに、


葵ちゃんが、

ヒールのつま先で、
俺の脛、蹴っ飛ばしてきた。


いやいやいや。

どのタイミングで渡せっちゅうねん。


葵ちゃんが渡した部屋着で、

めっちゃ盛り上がってるとこやぞ。


指輪なんて差し出したら、

みんなの前で、好きや、言うてるようなもんやんけ。


ええ歳して、そんな酔狂なこと出来るか！



おまけに、

ヤスがやけに、さっきから積極的で。

グイグイ、Aに絡んでるし。


「せっかくやし、
俺もなんかプレゼントしたいわ。
今度いつ休み？
Aちゃん、一緒にどっか行こうや」


何気に、ほんまあっさ自然過ぎる態度て、
デート誘いよった。

ヤス、Aみたいなん、タイプなん？

そうやとしか思われへん。


圧倒的な凄技に、
邪魔する隙もなかった。


「えっと、休みは村上店長に聞かないと・・・」


Aも満更でもなさそうな、
嬉しそうな顔してるよな？


二人、一歳違いやし、
似合いで、ええ感じやろ。


俺みたいなおっちゃんの出る幕、ないやんけ。


プレゼントのちっこい箱を、
セカンドバッグの中に隠す。


俺がどんな思いで、
このハートの指輪を買いに行ったか。

めっちゃ恥ずかしかったぞ。



「村上オーナー！
Aちゃんにも、たまには休みあげてや！
次の日曜。ええやろ？」


ヤスに聞かれて、言葉に詰まる。


「あほか」


その後に、

日曜は一番客が多いねん。
ヤス、今のタピオカ人気、知らんのか？


そう続けようと思てたけど・・・



呼びつければいつでもバイト入ってくれるAに頼り過ぎてんのかな。

そろそろ、開放してやらなあかんのかな。


もうハタチやねんし、デートの一つもしたいやろしな。


あかん。


自分の考えに、
胸、ぐっさあ、えぐられた。


「ええやろ？
Aちゃんもたまには土日休みたいよな？」


いつもよりずっと強引に、
ヤスがAに聞いてる。


「え、まあ。
土日、お客さん多いから。
疲れるけど・・・」


Aの目、潤んでる。

やっぱ、酔うてるよな、こいつ。


「A、お前、やっぱ、」


俺が、送ってくから、帰れ、言う前に。


Aが立ち上がった。


「私、そろそろ帰ります」

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