店長がお呼びです。

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一口、飲んでみたら、
甘くてジュースと、さして変わんないよな？


ごくごくって飲み干しちゃったら、
村上店長が、めちゃくちゃ怖い顔してる。


「A、お前、あれ程、言うたやろうが。
酒は一気に飲んだらあかんて」


「喉乾いてたし、美味しかったんだもん」


「これ、ジュースみたいで、
案外、アルコール度数高めなんやぞ。
今日はこれでもう終わりや」


「ええっ。
やだ。もっと飲みたいよ」


「あかん。
子供には一杯で十分や」


揉めてるうちに、
葵ちゃんが店に入って来て、

私たちの様子に呆れ顔してる。


「またじゃれ合って。
仲良いんだから」


「そんなんちゃうわ！」


村上店長が思いっきり否定した。

何も、そんな勢いで、
言わなくてもいいじゃん・・・


葵ちゃんは、
ここのバーテンさんの大倉さんの事も、
安田さんの事も知ってるみたいだ。

そりゃ、そうか。

常連さんなんだもん。


もしかして本当は、
村上店長と付き合ってるのかな？


教えてくれないけど・・・






しばらくしたら、

村上店長は電話がかかってきて、
席を外してる。

店長って、
友達多いのかなんなのか、
しょっちゅう電話がある。

クレープ屋の仕事も、
それで頻繁に抜けるから。

ちょっと寂しかったりする。


でも今日は、
村上店長なんかいなくても、

ずっと安田さんと葵ちゃんと話してて、

見張り番もいないから、
お酒も２杯目突入で、

酔ったのか、楽しくなってきた。


安田さんは、近くの大学３年生で、
ここでギター弾いて歌ってるんだって。

私より１歳上だけなのに、
すごく大人びて見える。


さっきの、やたらかっこいいバーテンさんの大倉さんも、安田さんの同級生でバイトだって言ってた。


「年も１個しか変わらんし。
安田さんて堅苦しいて、違和感しかないし。
ヤスでええで」


「では、ヤスくん、で・・・」


「うんうん、あっ、もう出番や。
Aちゃんも葵ちゃんも、見といてな！」


ヤスくんは、爽やかに笑って、
小さなステージの方へと、
駆けて行ってしまった。

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