店長がお呼びです。

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「お前に話っていうんはな・・・」


「分かってる。
本社ならちゃんと行く。
verteも軌道に乗ったし・・・」


美容院verteは、

文字通り、緑いっぱいで。

お客様に非日常の癒しを提供する場所であることにこだわり続けてる。


「お前の好きな緑いっぱいの美容院な。
お前があの店にこだわんのはなんでやねん」


お父さんが不思議そうに聞いてくる。


「特にないで。
美容師の仕事おもろかったから」


Aには、思いっきり振られた。

もう俺があの店に固執する理由もない。


「話っていうのはもう一個あってな。
お前も来月３０やろ。
それで見合いの話が山ほど来てんねん。
そろそろ考えてもええんちゃうか？」


思わず、口ぽかんと開けてた。

結婚て。


俺、今、絶賛失恋中やし。


だいたい、８コも下の小娘一人、物に出来ひんようなヘタレやで。


「それとも、
誰か、決まった人でもおるんか？
それなら紹介してくれやあ」

父親やのに、友達みたいに言うてくる。


「いや、おらんけど・・・」


答えた時に電話。


夏子ちゃんから。


なんかトラブル？

廊下に出て、電話でたら。


「店長、明日のお花見の件なんですけど、
大倉店長も行かれますよね？
お弁当の個数があるんで」


という、どっちでもええ話やった。


「ああ、もうそんな季節か・・・」


そう答えただけやのに。


「では出席で。
大倉店長来ないと誰も参加しないし」


そう言われて、一方的に電話が切れた。



お花見か。


明日はどっちにしろ、
Aと、顔、合わせてまうなあ。


個室に戻ったら、
お父さんに、


「５月末決算やから、
６月から本社に来いや。
明日にでももう、
verteのスタッフには伝えとけ」


そう言われた。


断る理由ももうない。


あいつと離れ離れになってまうな・・・


その方が、かえってスッキリするかな。


そばにおったら、
諦められる気か全くせえへんもん。









翌日の朝一のミーティングで、

みんなに、


「６月から本社に異動する事に決まりました。
俺が抜けても、
みんな一丸となって、
verteを盛り上げていって欲しい」

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