店長がお呼びです。

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それにもなんかカチンときて。


「はよ行くで」


宣言するように言うて、
カウンターに千円札叩きつけて、
Aを引きずるようにバーを出てきた。



雑居ビルの階段を降りたとこで、
立ち止まる。


「近くに車停めてるから。
送ってく」

そう言うたら。


「なんでこんなことするの？」


泣きそうな顔で聞かれた。

じっと見つめ合う。


理由なんて、一個しかない。


「お前が他の男とデートすんのが嫌やからに決まってるやろ。
なんかされたらどうするねん」


ついに言うてもうた。


「私が他の人と何したって、
大倉店長に関係ないじゃん。
なんで邪魔するの？」


ムキになって言うた頬が、
真っ赤に染まってる。


「そんなん聞かんでも分かるやろ。
分かりきったこと聞くなや」


ちっこい手、握って。

俺の方に引き寄せる。



強引に抱きしめたら、
Aがびっくりして、
肩震わせて。

めっちゃ可愛い仕草するから・・・


「お前が好きやからや・・・」


呟いて、見つめる。


潤んだ目で俺を見上げてるAの心の奥底に。

かすかに触れた気がした。


ゆっくり顔、傾けてく。


この夜に溶けて、
この世界に二人だけになった錯覚、起こして・・・


唇が届くほんの一瞬前。


頬に痛みが走って、我に返った。


思いっきり、ひっぱたかれてん。


「女が誰でも自分に気があるなんて思わないで。
大倉店長なんか、大嫌い」


涙、ぽろぽろ流しながら言われて・・・



もう、終わりや。


なんてことしてもうたんやろ・・・

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