店長がお呼びです。

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ASide


丸山さんについにデートに誘われちゃった。


公務員で高身長。

真面目そうで爽やか。


完璧な人に見える。



お客さんの中では、
一番のタイプ。



なのに・・・


なんだか、乗り気になれない。


いやいやいや。


いつまでもこの仕事、続けるか分かんないし。

向いてるかも微妙なんだから。


さっさと良い人を見つけなきゃいけない。


お姉ちゃんの二の舞にならないよう、
真面目な好青年をゲットするんだ。


閉店後の掃除しながら。


「バー、シャトレに２１時。
おしゃれだなあ・・・
こんな格好で良いのかなあ・・・」


つい独り言漏らしたら。

ガタンって物音がして、ビビった。


「初デートでバーに飲みに誘われたん？
チャラい男やな」


立ってたのは大倉店長。


いつもにもまして、仏頂面。


他の人に見せる笑顔の、
ひとかけらぐらい、
私にも見せらんないのかな？


だから私だって・・・


素直になれなくなる。


「丸山さんはチャラくありません。
だって公務員だもん」


つい、タメ語に。


「公務員は全員真面目やっていう、
お前の論理、おかしいやろ」


ひどい。


頭から否定してくるなんて。


「大倉店長、今日のカットの練習、
明日にしてもらっても良いですか？」


何かって言うと、
私を居残りさせて、
ダイレクトメール書けって言ったり、
勉強しろって言ってきたり。


毎日、仕事ばっかりで、
これじゃ、彼氏なんて出来っこない。


「なんでやねん。
俺、明日から外出るから忙しいねん」


「外って？」


「お前には分からん仕事がいろいろあるねん」


なんだそのえらっそうな言い方は。


ちょっと年上だからって、
ちょっと店長だからって。


これじゃ新人いびりじゃん。



そうこうしてるうちに、
大倉店長はもう、
カット用の椅子にでーんと座ってる。

存在感をやたらアピールされてる気がするんだよね。


「店長自ら、
下手くそなお前のカットモデルやったるねんで？」


また威張ってるし。


「分かりました」


さっさと終わらせればいいんだ。

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