店長がお呼びです。

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いつまでたっても、
きょとーんとして、
受け取れへんから。


「ほれ。つけてみ」


俺がさっさと開けて、
指輪だけ差し出してやった。


「う、うん。
これ、ずっと欲しかったの」


A、最初は、
小指にハート型の飾り付けて、
嬉しそうに見ててん。


こんなに喜ぶて。

女の子らしいよな。


けど、そのうち、
怪訝そうな顔に変わって。


「村上店長、なんで、こんなのくれるの？」


「なんで、て。
さっきから言うとるやないけ。
誕生日やろ？」


「・・・だから、なんで誕生日プレゼントなんかくれるの？」


「いらんのか？」


「いるよ！
いるに決まってるじゃん！
だけど・・・
こういうのは、
特別な子にしかしたらダメなんだよ？
知らないの？」


もしや、俺の気持ち、
まだ分かってへんのか？

嘘やろ・・・？


「特別な子、お前やろが」


「へ・・・？」


この表情。

ほんまに、伝わってへんやんけ。

今更、俺の方がびっくりするわ。


「特別って？」


「特別は特別やんけ。
他に何があるねん」


あかん、照れる。

顔から蒸気出るんちゃうか。


「分かんないから聞いてるの。
さっき車で寝てる時、
村上店長の声で、
私を好きって、
聞こえたような気がしたけど。
夢なのか、分かんなくて・・・」


Aが不安そうに、俺を見つめてる。

ゆらゆら揺れる瞳に吸い込まれて、
思わず、手のひらで、頬を包み込んでた。


「・・・なんで、そない泣きそうな顔してるねん」


俺の言葉が、まるでスイッチやったかのように、

Aがぽろっと涙をこぼす。


うわ、なんでや。


「なんで泣くねん」


「焦れったいもん。
ずっと教えてくれないから。
私のこと、どう思ってるのか」


「・・・分かるやろ。
さっきからずっと、
言うてるようなもんやろ。
好きやて・・・」


「ほんと？」


「疑り深いな」


「だって、不安だから・・・」


さっきからの、この感じ。


Aも、俺を、好き？


やろ？


「なんも不安にならんでええわ」


肩を抱いて、引き寄せる。


そのまま抱きしめたら、
びっくりしたんか、肩が震えたけど、

こてんて、
おでこ、肩にくっつけてきた。

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