第五十八話 ページ9
「……白色のニットに、ショートパンツとストッキング……靴はパンプス……確かに全部私が持っているものだ」
正確的には私のお母さんが私に買ってくれたもの。
なんで知っているんだろう、本当に。
だけど「アウトドアなデートならこれが定番!」と千佳が太鼓判を押してくれたので、とりあえず信用していいんだろう。
こういうのに詳しい友達がいてよかった。
……なんていうか、こんなファッションセンスもないのかだなんて失望されたくない。
こんな女連れ回さなきゃいけないのかなんてがっかりされたくない。
それは私のほのかなプライドでもあったりするのだ。
「おーい、邦月ー」
「あ、はい」
廊下を歩きつつ考えに耽っていると、名前を呼ばれ現実に呼び戻された。
振り返ればそれは私の現国の教師だった。手には分厚い資料の束を抱えている。
それすら見れば言われることは大体理解したので、私は小さく息をついて先生に近寄る。
そして先生が持っていた資料の束を先生が何かを言う前に受け取った。
「お、スマンな。 何も言わなくても察してくれるとは感心だ」
「はは……立場柄、慣れてますから」
「あぁ、そういえば邦月は委員長だったな。 模範生徒だって教師の中でも評判だ」
「本当ですか?嬉しいです、ありがとうございます」
愛想程度に微笑み頭を下げる。
「それは資料室に戻しておいてくれ」と一言だけ続けて、先生はまた廊下を歩き出した。
そろそろ授業開始の時刻なんだけどな……少しくらい遅刻しても大丈夫だろうか。
あ、次の授業は現国だった。じゃあ大丈夫か。ゆっくり行こう。
怠惰に身を任せ、ずしっと手に来る重みを感じながら私はゆっくりと廊下を歩いた。
模範生なんてくそくらえだ。私だって自他ともに認める面倒くさがり屋ですもの。
資料室が見えてきて、私はその扉の前に立ち尽くした。
両手は塞がってるため、扉を開けようにも開けられない。
しょうがない、最終手段として私は足で扉の隙間をこじ開け、そのまま扉を左に押していく。
引き戸タイプでよかった。
「……あれ」
「……え?」
いつからそこにいたのだろうか。
眼鏡をかけた普段は見慣れない様子の会長が資料室に備え付けられた机の上に座っていた。
普通ならば行儀が悪いと思われがちなその行動も、会長のようにビシリと決めてしまえば文句も言えなくなってしまいそうだ。
「会長」
「邦月さんなんでここに?」
「えっと、現国の先生にこれを……」
そう言えば、会長は納得したようだ。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ayakaさん» Rの要素ございました? (2020年6月25日 14時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka - [R]つけてください (2020年6月24日 20時) (レス) id: 6bf9ec98ce (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ゆうきさん» あぁああうれしいです!全力できゅんっと来るような描写をさせていただきます…無駄に多く長い小説をすべて読んでいただき感激のあまり…いや本当に感激です!(語彙力が足りない)ありがとうございます、頑張らせていただきます!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - いか糖さん» 本当に長くなりそうなので飽きないって言ってくださってうれしいです……!ワンパターン・テンプレばかりの小説だというのにそんなことを言って下さるなんて…!頑張ります!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメント失礼します!先生かっこよすぎませんか!?一話から続けて読んでいますが、先生の一つ一つの動作にキュンキュンさせられてます!こんな先生本当にいたらいいのにな…更新がんばってください!楽しみにしています! (2017年6月11日 15時) (レス) id: 6c9139a3b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年11月14日 20時