【2】サド教師とツンデレ生徒【名前変換オリジナル】

第八十九話 ページ40

「お、ようお前ら、優勝狙ってたのって本気だったんだな」

私たちに気づいた先生がイヤホンを外し私たちに向かって笑みを浮かべる。

「はい！優勝したらみんなでファミレス行くんですけど先生もどうですか！？」
「いや、俺たち教師は終わった後会議あるし周りの目も気になるし遠慮しとくわ」
「教師とカフェで飯食ってるとなんかあるっけ？」
「たまたまバッタリは問題ないけど、特に理由もなく特定の生徒たちと一緒にご飯となると贔屓とかの問題は浮上するかもしれないからね」

というわけで先生に出題を促す。
すると彼は私を見てにっこりといつもとは違うそしていつもより五倍くらい悪どい企みを抱えてそうな笑みを浮かべる。

「邦月がいることだし難易度をちょっとあげてみようか」

期待はせずに行きたいよね。

「"Thus thou must do," if thou have it, And that which rather thou dost fear to do, Than wishest should be undone. 」
「えっ今なんて？」
「今の英語じゃないよね？」
「待って言うの早い」
「あーこういう教師だったー忘れてたー！」

ほかのみんなが困惑を口にする中、私は頭を抱える。
そんな私を見てはっはっはとさも愉快気に先生は声をあげて笑う。普段はそんな笑い方しないくせに。バーカバーカ。

「先生先生ワンモア！」
「別にいいけど邦月じゃないとわかんないと思うぞ？」
「それこそ贔屓っすよ先生！」
「ヒント！ヒント！」

ワイワイと先生を囲んで騒ぐ三人。その輪には加わらず、ほんの少し距離を置いたところから私はじっと宙を睨みながら頭を回転させる。
和樹くんが「今の英語じゃない」って言っていた、それは確かだ。thouっていう言葉は昔の英語でしかもそれこそシェイクスピアが……
シェイクスピア？

ふ、と顔をあげると先生は私のほうを見てにんまりと笑っていた。

「シェイクスピアですよね……」
「正解。 どの劇かわかるか？」
「私有名どころしか見てないんですけど……」
「有名どころだぞ？悲劇の一つで女性のsoliloquyだ」
「ソリロキュー……」

独白。女性。おそらく主役。そこまで聞いて、私ははっと顔をあげた。

「thus thou must do if thou have it...劇マクベスの中のレディマクベスですよね！」
「意味は分かるか？」
「流石にシェイクスピア英語はわからないですけど、確かマクベスが慕っていた王を殺すことを恐れている心情をレディマクベスが語っていたはずです」
「正解だ。 通っていいぜ」

樹から姉御すげぇ頂きました

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