【2】サド教師とツンデレ生徒【名前変換オリジナル】

第八十七話 ページ38

その後も着々とたくさんの科目の問題を解いていく。
「肉じゃがの煮汁の材料を分量付きで答えなさい」って言われたときはさすがにピンチだった。私の家は実はすき焼きのたれを応用して作っているのです。でも千佳と協力して水と砂糖と醤油とみりんだということを探し出し、適当な分量を述べてみたら正解した。たいていの料理って大匙2だもんね。

「次の熱化学方程式を用いて、Ｎ≡Ｎの結合エネルギーを求めよ……私、化学は苦手なんだよね……」

プリントを読み上げて私は思わずうわぁ、と小さい声で悲鳴をあげた。目の前に立っている教師は私たちの化学を担当している教師で、もちろん私が化学をそれなりに苦手としていることを知っている。一番は前も言った通り古文だけど。
そんな私の持っているプリントを覗き込むように和樹くんが顔を近づけてくる。しばらくうなってから、「わかった」とつぶやき答えを述べた。

「940kJ/mol…ですよね」
「正解だ！」

嬉々として私たちのスタンプカードにスタンプを押す先生。

「待って、和樹くんって化学得意だったっけ？」
「委員長ほど優秀ではないけど、化学で委員長に負けたことはないよ」
「私今この瞬間から和樹くんのことライバル視するね」
「えっ、ご、ごめんね！？」
「安心しろ姉御！このオリエンテーション始まってから俺一度も役に立ってない！」
「樹はもうどっかに果てればいいんじゃない？」

今回の中間、全クラスの平均が上がり赤点が零人だったとはいえクラスの最下位は樹でした。

「っはー！ようやく山頂だー！」
「え、もう？」

んー、と背伸びをした千佳の言葉を聞いて私は腕時計を確かめた。
11時にもまだなっていない。まさかこんなに早く山頂までたどり着けるとは。これは優勝、ひょっとするとひょっとするかもしれない。商品はないけど、勝つって気持ちいいよね。うん、俄然やる気出てきた。

「じゃあちょっと早いけど昼ご飯食べちゃう？」
「そうしよーぜ。 早くとも俺はおなかすいた」
「午後あたりお腹空きそうだなー」
「優勝したら、帰るとき四人でファミレス行けばいいじゃん！」
「あ、それ賛成」

千佳とよく一緒に寄るファミレスで今デザートフェアをやっているのだ。一日労働したんだからデザートくらい贅沢したい。お持ち帰りできたら胡桃たちにも持って帰ってあげよう。
私が持ってきていたレジャーシートを敷き、四人で輪を囲む。それぞれお弁当を出すと、なるほどみんな遠足使用だ。和樹くんのお母さま超器用。

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