第七十九話 ページ30
キッチンに置いてあった布巾でテーブルを軽く拭いて、先生と肩を並べてシンクで手を洗った。
何この光景、とてもシュール。
しかも大の大人の先生、手の洗い方とても丁寧。小学校の時手の洗い方習ったけど、そのお手本レベルで丁寧。ギャップ本当さぁ。
二人してテーブルに夕食を並べ、手を合わせた。
「いただきます」
おにぎり二個がコロンとテーブルに転がっている。
その中でシャケマヨを手に取り、�，判颪�れている包み紙を引っ張り縦に割いていく。
「おい……お前、夕飯それだけか？」
「え、あ、はぁ……食欲なかったんで」
主に目の前に座っている誰かさんのせいで。
悶々悩んでいたせいで、かなり食欲激減していたからなぁ。
「育ち盛りだろ、もっと食えよ」
そう言う先生は立派にコンビニ弁当にサラダまで購入している。
野菜嫌いじゃなかったっけ？
「ん、これやる」
がさがさとコンビニ袋を漁ったかと思えば、先生は私の目の前に何かを置いた。
大きいバルーンフォントで書かれたその文字は「メロンパン」。
大の大人がメロンパンは、流石に衝動的すぎてしばらく忘れられなさそうだ。
「……先生って、たまに選択おかしいですよね」
「え、なんで」
駄目だこの人絶対天然だ。
いや、そうじゃなきゃおかしいしそうでしかないって分かってたけどさ。
頭を抱えそうな私に首を傾げながら、先生はコンビニ弁当などの蓋を外し、割り箸を割った。
米を一口目にかきこみ、おかずであるハンバーグを一口分に割ってぱくりと食した。
「……お前のハンバーグのほうが好きだ」
「…………」
噴きだしそうになったおにぎりを寸でのところで飲み下す。
……あぁ、喉越しが最悪だ。
恨めしそうな目で先生を見て、私は照れ隠しに崩れそうになっているおにぎりを握り直す。
「……なんでそういうことさらっと言っちゃうんですか……」
「え、駄目か？」
「……照れます、普通に」
勝手に尖ってしまう唇を、おにぎりの影に隠す。
だけど流石に赤くなった頬を隠すほど、おにぎりは大きくない。残念だ。
私の赤くなった頬を見て、先生はふはっと笑いだす。
もう、この人は本当に卑怯だ。
「いや、でも本当にお前の弁当はうまいぞ？いつもありがとうな、助かっている」
「それはいいですけど……本当に誰にも言わないでくださいよ？あの女子らに私が先生のお弁当作ってるなんてバレたら私の高校生活が終わります」
「口が裂けても俺も言えないさ」
二人だけの、秘密だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 328人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ayakaさん» Rの要素ございました？ (2020年6月25日 14時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka - [R]つけてください (2020年6月24日 20時) (レス) id: 6bf9ec98ce (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ゆうきさん» あぁああうれしいです！全力できゅんっと来るような描写をさせていただきます…無駄に多く長い小説をすべて読んでいただき感激のあまり…いや本当に感激です！（語彙力が足りない）ありがとうございます、頑張らせていただきます！！ (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - いか糖さん» 本当に長くなりそうなので飽きないって言ってくださってうれしいです……！ワンパターン・テンプレばかりの小説だというのにそんなことを言って下さるなんて…！頑張ります！！ (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメント失礼します！先生かっこよすぎませんか！？一話から続けて読んでいますが、先生の一つ一つの動作にキュンキュンさせられてます！こんな先生本当にいたらいいのにな…更新がんばってください！楽しみにしています！ (2017年6月11日 15時) (レス) id: 6c9139a3b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年11月14日 20時
