20: 予感 ページ20
部屋の窓から、薄い雲の向こうに霞んだ月を眺める。
白く輝く月を見ると、昔を思い出してしまう。
小さい頃から空を見るのが好きだった。
いつも空を見るときは、兄さんに沢山の星座や星団、星の名前を教えてもらった。
大切なこと…例えばコンクールや、兄さんが留学してしまう日の前夜なんかには、決まって空を見上げていた。
望遠鏡を覗き込んで笑った事を思い出すと、両親の事まで思い出してしまって頭を振る。
「ふう…」
零「A?こんな時間までどうかしたのかえ?」
ドアからこちらへ歩いてくる兄さんに手招きする。
窓から少しだけ身を乗り出して、空に広がる星を指差した。
「春の大曲線がまだ見えるよ。」
零「ほう…よく覚えておったのう。」
「兄さんに教わった事は、私大体覚えてるよ。」
零「くくっ…嬉しい限りじゃ。」
ゆるりと頭を撫でられ、顔を上げた。
赤い瞳と視線が絡み、不覚にもドキッとしてしまう。
「あ___ [prrrrrr…prrrrrr…]えっ」
零「お父上ではないかえ?」
「そうだ忘れてた!ごめん零兄さんっ」
零「そのくらい気にせんわ。ゆっくり話すと良い。」
慌ててスマホに駆け寄り、通話をオンにする。
気をきかせて部屋から出て行こうとした兄さんの袖を引く。
「ここにいて。」
実を言うと、私にはちょっとした予感があった。
どうして父がこの時期に電話してきたのか、わざわざ掛け直してまで何を話したかったのか。
聞きたくない現実を受け入れる事になる予感が、私にはあった。
「もしもし?」
父「すまないね、もうそっちは夜だったかな?」
「うん、まあ。兄さんとお話ししてたんだよ。」
父「起こしたのでないなら良かった。少し話そうか。」
「うん。」
驚いた顔で私を見ていた兄さんが、私の様子に気づいてか隣に座ってくれる。
そっと肩を抱き寄せられ、私は兄さんに体を預けた。
21: 俺が守る 零side→←19: 俺が守りたい 凛月side
283人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - 十六夜 桜さん» ありがとうございます!もう何と言いますか…インスピレーションが湧かなくて( ; ; )何とか書いておりますので、もう少しだけお待ち下さい! (2020年1月6日 12時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 桜(プロフ) - とても素敵な作品ですね!続きを楽しみに待ってます!零推しには嬉しいですね。(零の小説があまりないので) (2020年1月6日 1時) (レス) id: 12d90357d6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - みーこさん» 長い間の更新停止、すみませんでした!お言葉、恐縮です。頑張らせていただきます!o(`ω´ ) (2019年11月16日 14時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - すごい好きです!更新待ってます! (2019年11月13日 8時) (レス) id: ad66a60e86 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 紅さん» 閲覧頂きありがとうございます!ご指摘、その通りでございます(>_<)勉強の合間に書いたもので…!痛み入ります、すみません! (2019年9月16日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年9月4日 9時