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45話 ページ45






まだ日の出まで幾分か時間がある早朝。
炭治郎と無一郎はこっそりと人目のつかない公園で会っていた。



炭治郎は朝日を待つようにフェンスに寄りかかって東の空を眺めていた。

炭治郎の赫灼の髪がさわさわと揺れる姿が、Aの姿と重なって見えた。



___二人は本当に双子の姉弟なんだな。








「炭治郎。」



無一郎が声を掛けると炭治郎がくるりと振り返った。その瞳は優しい光を灯していた。



「炭治郎、Aにちゃんと伝えたよ。僕の気持ち。」

「うん。」



無一郎は炭治郎の隣に立つと、その長髪を靡かせながら炭治郎と朝日が出るのを静かに待った。



風の音が静寂を引き立てる中、それを破ったのは炭治郎だった。



「…俺は、Aのことを誰よりも想ってる自信がある。」

「…僕だって、負けない自信があるよ。」

「うん。」








「俺は一度目の前で、Aを失った。
あの時の記憶が脳裏にこびり付いて離れない。
もう、百年以上も昔の記憶なのに。」



炭治郎は困ったような顔をして無一郎を見た。
無一郎も泣き出しそうな顔をしながら炭治郎を見る。



「…無一郎君。もし、Aが君を受け入れたら、Aのことを、頼んだよ。」



丁度朝日が水平線に落とされた時だった。
その光はどんどん上へと上がっていき、炭治郎と無一郎のことを照らした。


陽の光を浴びてよく見えるようになった炭治郎の表情は、優しく強い決意を含んでいた。



「当たり前。」



炭治郎を安心させるように、無一郎は笑った。
ほっと胸を撫で下ろして、炭治郎は朝日を身体いっぱいに浴びていた。


























___この時代の朝日は鬼を殺す光じゃなくて、ただただ温かく優しいものなんだね。

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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
- 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時

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