40話 ページ40
「え、また将棋部の部室ですか。」
「うん、休みの日だからね。」
二人きりになれるのここくらいだから、と無一郎は笑った。
Aは有一郎が来たら殺される覚悟を決めて部室に足を踏み入れた。
そして適当なところに座るとぴんと背筋を伸ばして無一郎を見据えた。
「無一郎君。」
「うん。」
「あの、うん。」
「Aでも緊張することあるんだね。」
無一郎は笑っているが心臓はバクバクと鳴っている。
これから言われるであろう応えで生死が決まると言っても過言ではないからだ。
一方のAも若干緊張した面持ちで、いつもの冷静さがどこか欠けてしまっている。
今なら炭治郎に抱き着かれても気にしなさそうなくらいだ。
「あ、あのね。」
「うん。」
ふぅ、と深呼吸をしてスカートの裾をぎゅっと握り締める。
「…こ、告白してくれてありがとう。凄く嬉しかった。嬉しかったんですよ…はい。」
話す内容をまとめずに無一郎のところに突っ込んでしまったからどこから話せば良いのかわからなくなり、Aは一人頭を抱えていた。
無一郎も制服のズボンをぎゅっと握り締めてAの話をじっと聞いた。
「えっとね、私。今まで告白された時はその場で断ってたの。でも、無一郎君の告白は断れなかった。だから、なんでかなって思ったの。」
無一郎はその言葉に目を少しだけ見開いた。
Aは恥じらいからか視線を下に逸らして続けた。
「私は誰かを好きになったことがないから、家族愛とか友情愛とかしかわからないから。無一郎君のこと、そういう意味で好きなのかどうかわからない。
でも、あの…多分、特別だと思ってることには間違いないと思う。」
そこまで言い終わるとAは頭を抱えて机に突っ伏した。
流石のAも恥ずかしくなってしまったようで、耳元まで真っ赤になっている。
無一郎は言わずもがな顔を真っ赤にさせていた。
____嬉しい、そんなこと言われたら期待しちゃうじゃん…。
沢山の感情が入り交じり、身体中がかぁっと熱くなった。
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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
孤 - 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時