36話 ページ36
「それで、その告白受けるか悩んでんのか?お前いつもはバッサリその場で断ってたよな?悩む相手なのか?」
「んー…大切な人だからさぁ…」
これが恋情なのか愛情なのかわからないんだよねぇ、とAは複雑そうに笑った。
玄弥はそんなAを横目にスマホを取り出した。
「お前が恋愛感情かもしれないって思うこともあるんだな。」
「失礼な。ありますよそのくらい。」
馬鹿にしてるの?と言いたげな目をして玄弥をじとっと見つめる。
玄弥なスマホから目を離すことなく、まあ実際に結構な馬鹿だし…と呟いた。
「あのねぇ、私は馬鹿じゃないですー。
てかそう言う玄弥はどうなの?好きな人とかさ。」
身を乗り出して面白そうにAは尋ねる。
玄弥はやっとスマホから目を離してAに向き直った。
「いるけど。」
「……え」
今度はAがびっくりする番。
女の子とまともに話せない絶賛思春期男子に好きな人がいるなんて。
*これはもう、聞き出すしかないだろう!
「誰、誰なの?同じクラス?
…禰豆子?え、禰豆子なの?え?え?禰豆子は渡さない、渡さない…」
「いや違ぇよ。」
ここでシスコン発動。
弟も弟で超がつくシスコンだが姉も姉でドン引きされるほどのシスコン。
ほとほと呆れ返った玄弥はAの額にデコピンをかます。
地味に痛いんだけど、とAは額を抑えて玄弥を見上げた。
「教えて。」
「無理だな。」
「そこまで言ったなら最後まで言ってよモヒカン。そんなに髪剃って欲しいの?」
「モヒカン関係なくね?てか俺の命剃るなよ。」
真顔で自身のモヒカンを守る体制に入る玄弥、強い。
そして自身のモヒカンを命と称せることも強すぎる。
「言ってよ。」
「無理。」
「あ、スマホ貸して。」
「は?何でだよ…っておい!」
ひょいっとAは玄弥のスマホを取り上げる。
おい、返せと言う玄弥。彼は自分から女子に触るなんて高度の高い技ができるわけもなく、Aにスマホを返すように言い聞かせる。
「きっと玄弥のことだからスマホに写真でも…」
「お、お、おい!」
焦る玄弥を無視してスマホの電源を付け、一番初めに目に入ってきたのは検索履歴。
ほんの少しの好奇心から検索履歴を見てしまった。
しかし玄弥の検索履歴はたったひとつだけだった。
.
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“雨音が響いていますね”
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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
孤 - 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時