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34話 ページ34

「そう、か…」



いつもの炭治郎なら俺のAは渡さない!むん!と叫んでいたことであろう。

しかし本当は炭治郎は知っていたのだ。無一郎がAのことを心の底から想っていることを。


Aは相手の名前こそ出さなかったが炭治郎は話の趣旨からなんとなく、相手が無一郎であることを察していた。

しかしそれには気付かないふりをした。



「Aは、Aはどうしたいんだ?」



自分は、どうしたいか…。



「その人と、どうなりたいのか。
周りの目を気にせず、自分自身の気持ちと向き合ってみてくれ。」



周りの目を気にせず…。


引っ掛かる要因の一つに無一郎が後輩という事実がある。

そして彼は物凄い人気者であり、将来有望な存在。
心のどこかで彼を雲の上の存在として見ているということも否めない。


頭の中に沢山の情報が流れ込んできてますます混乱していた。



「…俺は、恋愛とかそういった類のもののことはよくわからない。でも、Aが自分のやりたいようにやって欲しいから。

自分の心に正直になってくれ。」



炭治郎がふっと微笑むと、途端に何かがするりと落ちていった。

心に重くのしかかっていた何かがなくなって、一気に心が穏やかに、晴れやかになる。



「…ありがとう、炭治郎。」



___自分の気持ちに正直になろう。



「ああ。俺はいつでもAの味方だから。」



炭治郎はAの頭をぽんと撫でた。

さらさらと蜘蛛の糸の如く細い髪が炭治郎の手に掬われて、重力に従って零れる。


Aは炭治郎に身を任せるように、静かに目を細めていた。


























「今日はやけに素直なんだな!俺は嬉しいぞ!よし、じゃあ一緒に寝よう!」


「それは勘弁。」


「な、なんでだ!俺はAと片時も離れたくないのに!何なら風呂にだって一緒に」


「仮にも年頃の男女。くっつき虫か。」


「俺が虫になれば一緒にいて良いのか!?」


「禰豆子ー、殺虫剤持ってきてー。」


「や、止めてくれ!俺の愛は殺虫剤で殺せるほどヤワじゃない!」


「殺すのは愛じゃなくて虫になった君自身だよ。」

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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
- 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時

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