九 小さくなったもの ページ9
オロチさんと約束を交わした信はお泊りに行くことを承諾してくれた。
これであとは子どもたちは当日を待つのみ。
「じゃあ俺は帰るよ。また来るね」
晴愛さんが帰ってからオロチさんは今日は何をしていたのか私に尋ねてきた。
「女子会って言ってた。土蜘蛛さんのお屋敷でえんらえんらさんたちとお話したよ」
「……そうか。上手くやれているようで何よりだ。……桜、信。風呂に行こう」
オロチさんは桜と信を連れて風呂場へ行ってしまった。
今のところいつものオロチさんだが、またどこか素っ気なくなっている気がした。
ともかくお泊りが決定した今、当日をどうするか考えなくてはならない。
デートだなんてオロチさんは大丈夫だろうか。
もしどこかに行くのであればオロチさんはどこに行きたいだろうかと考えているうちに、お風呂からあがった3人が戻ってきてしまった。
「2人は私が寝かすからAは風呂に入ってきてくれ」
オロチさんは布団を敷くとそこへ桜と信を寝かせた。
私はその姿を数秒見つめてからお風呂場へ向かった。
1時間程してお風呂から出ると桜と信の話し声が聞こえた。
「よぅちゃん、まぁくん。眠れないの」
2人は私に気づくと手招きをした。
「まま……」
信は私の手をぎゅっと握る。
2人をオロチさんと挟んで寝転ぶと2人はにんまりと笑った。
「Aと一緒がいいそうだ」
オロチさんは嬉しそうに隣の桜の手を握った。
私は信の手を握り返し、少しだけ体を詰める。
4人で寝るにはこの布団は少しだけ小さくなってしまった。
それだけ2人が大きくなってしまったのだと実感した。
「桜、信。約束だからもう寝よう」
「はぁい」
2人は大人しく目を瞑ると数分して直ぐに寝息を漏らした。
「……お空から見てたんだって。子どもってさ、お腹にいた頃のこととか覚えてることがあるって昔聞いたことがあるんだけど、どんな感じなんだろうね。私もまぁくんと似たことを言っていたのをお母さんから聞いたことがあるんだけどもう言ったこともどうだったのかも忘れちゃった……」
「親である私たちが覚えていればいい。もし忘れてしまったときは私たちが教えてあげよう。──さぁ、私たちも寝よう」
オロチさんはゆっくりまぶたを閉じる。
つられてまぶたを閉じると静かに眠りに落ちていった。
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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時