さくらの営み ─温かい場所─【オロチ】

二十四 いたずらに ページ24

桜と信が起きた所で、家に帰ろうと屋敷を歩いていると晴愛さんが屋敷の外に出ていくのが見えた。


「はるめだぁ」


桜が晴愛さんのあとを追いかけ、閉まりかけた扉に突っ込んだ。

慌てて私とオロチさんが扉を開けると桜は外に飛び出て晴愛さんの背中に飛びついた。


「うわ、何何」


晴愛さんはふらっとよろけたが、すぐに態勢を持ち直した。


「晴愛さん何してるの」


「写真だよ」


振り向いた晴愛さんの手には立派なカメラがあった。

エンマ大王さまがいらなくなったものを貰ったそうだ。


「そうだ、Aたち撮らせてよ」


イエスと言わずもがな、晴愛さんは桜をおろし写真を撮るために距離を取った。


「ほら早く早くー」


晴愛さんは手を振って私たちにもっと寄れと指示した。


「まま、お写真撮るの？」


「……そうだよ。ほらおいで」


私は信を、オロチさんは桜を抱き上げるとオロチさんは私に肩をひっつけた。


「オロチもっと笑ってよ」


ちらっと横を見るとオロチさんは顔を強張らせていた。


「ぱぱ笑ってよー」


桜がオロチさんの頬をぺちぺちと叩く。

こういうことは苦手だとオロチさんは顔を伏せてしまった。

桜は笑ってとオロチさんの頬を軽く叩いた。


「……よぅちゃん、まぁくん。内緒話」


2人は何何と耳をこちらへ近づけた。


「………なんだ」


オロチさんに聞こえないように耳打ちをすると桜と信は顔を見合わせにんまりと笑った。

晴愛さんに合図をして、桜と信は身を乗り出しオロチさんの頬にキスをした。


「な………っ⁉」


パシャリ、とシャッター音が鳴った。

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