二十 同じように ページ20
急ぐことなく期待しながら歩いていると、曲がり角で誰かとぶつかった。
「す、すみませ……っ。……ぁ、オロチさん」
「……浮かない顔をしてどうした。……何か言われたのか」
オロチさんは私がドンヨリーヌさんたちと話していたことに気づいていたようだった。
「……仲良くていいなって」
そう言うとオロチさんは顔をしかめた。
「……つまり他の誰かに見せびらかしたいと、そういうことか」
「そ、そうじゃないよ……。オロチさんがそういうこと苦手なの知ってるし……。たまに照れて私を置いていきがちなのも分かってる。さっきだってそうだったでしょ。ただ特別じゃなくても手を繋ぎたいなって思って……。……ごめんなさい」
オロチさんは今度は困った顔をして私の顔を見上げた。
「……Aが願うのなら構わない」
ぱっと目の前に手を出され、私はその手とオロチさんの顔を交互に見た。
「……ありがと」
私がその手を握るとオロチさんは強い力で握り返した。
「Aが私を特別なように私もAのことは特別だ」
私の手を引っ張り歩き出したオロチさんの髪の隙間から見えた耳は真っ赤だった。
屋敷が見えてくると何やらいつもと雰囲気が違っていた。
「……なんか騒がしい」
違和感にオロチさんも気がついていたようで、屋敷から出ていく妖怪たちを目で追っていた。
階段をのぼると屋敷の扉が開き、信が飛び出してきた。
「信っ、勝手に出ていったら駄目だって……ぁっ」
信の後に出てきた晴愛さんがこちらに気づくと、しまったとでも言うような顔をした。
「ど、どうしたの2人とも……?約束より随分早いね……?」
「晴愛さん、隠しても無駄。……何があったの」
口ごもる晴愛さんの頬を信はぺしぺしと叩いた。
「……桜が居なくなった」
晴愛さんは慌てて信の口を塞いだ。
「……どういうことだ」
途端にオロチさんは今にも獲物を仕留めると言わんばかりに晴愛さんを睨みつけた。
「ごごご、ごめんなさい……」
オロチさんの視線に完全に怖気づいた晴愛さんは信をぬいぐるみのように抱きしめ、がたがたと震えた。
「──晴愛さん。詳しく話して」
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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時