十九 羨望 ページ19
「ん……うぅ……」
真っ暗の中、私の意識はぽつりと戻る。
随分長いこと眠っている気がする。
そろそろ起きたいと、目を開けた。
「……昼」
時計に目をやると針は1時を示そうとしていた。
オロチさんは私を抱きしめたまま、無防備に眠っている。
まだぼんやりとした頭でその寝顔をじっと見つめていると、眉が不自然に動いた。
「オロチさん……おはよ……」
頬に触れようとしたらオロチさんは目をぱっちりとあけ、少し不機嫌そうに眉をしかめた。
その不機嫌さ加減から言うと私より少し先に起きたようだ。
「寝たふりしても分かるからね」
オロチさんはガバッと体を起こすと長くため息をついた。
布団から出ると私がまだ包まっていたいというのに無理矢理引っ剥がし、布団を畳んでしまった。
「……桜と信を迎えにいく。立てるか」
オロチさんは私の手を優しく握って引っ張った。
私が立ち上がるとオロチさんはぱっと手を離してしまった。
外へ出ると私はオロチさんの後ろをぴったりとついていった。
ついさっきまでの甘えたはどこにいったのだろうとじっと見ていると、背後から肩を叩かれた。
「こんにちは〜……」
振り返るとそこにはドンヨリーヌさんがいた。
その隣には黄色い知らない妖怪がいる。
「私の夫なの〜」
「そうでしたか。はじめまして、Aです……」
「ホノボーノぼーの。よろしくぼーの」
ドンヨリーヌさんとは真逆の性格のようで、ずっとにこにこしている。
「所であれは成功したのジュヴァ〜ン?」
ドンヨリーヌさんはホノボーノさんにも聞こえないように、こっそり耳打ちをした。
頷くとドンヨリーヌさんはほっとしたような顔をした。
「そう……。それで1人でどこに行くつもりジュヴァ〜ン?」
「ぁっ、今オロチさんと桜と信のお迎えに行く途中でして……」
後ろを振り向くとオロチさんの姿は見えなくなっていた。
「邪魔したぼーの……」
「いえ、行き先は分かっているので今から走れば充分に間に合います。お二人はおでかけですか」
「えぇ、ちょっとお散歩に……」
2人は仲良く寄り添って幸せそうだった。
「じゃあこれ以上引き止められないから、私たちはこれで失礼するわ〜……」
去っていく2人を数秒見つめ、私は
「……いいなぁ」
と溢した。
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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時