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十七 忘れない傷 ページ17

熱を帯びた肌、声、吐息、全てを敏感に感じ取る。

長い夜はあっと言う間で、気づけば朝の光が壁の隙間から漏れていた。


「……もう朝か」


私に覆いかぶさっていたオロチさんが上半身をあげ、ため息をついた。


「オロチさん少し声かすれてる……」


そういう私もだいぶ声がかすれていた。

オロチさんはこちらを見下ろすと、視線を下に持っていく。


「……あんまり見ないで」


私は手を伸ばしオロチさんの背に回してぐっと力を入れた。

オロチさんは私の腕を掴むと外し床に肩を押し付けた。


「……満足した?」


「──ん」


オロチさんは優しい口づけをすると、私を優しく抱きしめた。


「腰痛い。お風呂連れていって」


私はオロチさんにしがみついてお風呂のある方を指差した。

オロチさんは私を抱き上げてお風呂場へ向かった。


「すまない、相当無理をさせてしまった」


「んー、いいよ。私で満足してくれたなら嬉しい……」


オロチさんは私をお風呂の縁におろすと髪を嬉しそうにわしゃわしゃと撫で回した。

湯を張りながら2人して浴槽に入る。


「……オロチさん、背中引っ掻いた?」


オロチさんの背中には引っかき傷がいくつもつけられていた。

オロチさんはこちらを振り向くと意味深な笑みを浮かべた。


「昨晩、Aは私に何度も何度もすがっていたな」


「……ぁっ。……っっすみません……。す、すぐ治す……っっ」


引っかき傷に手を重ねようとしたら、オロチさんは突然こちらを振り向いた。

オロチさんの胸に手を当ててしまい、慌てて手を引っ込めた。


「いや、いい。自然に治るまでこのままにして欲しい」


「でも……」


納得できないでいるとオロチさんは私の両足を脇に挟むように引っ張った。

ぴたりと肌と肌が触れ合った。

オロチさんは私の顔を見るとくすりと笑う。


「風呂から出たら少し寝よう」


「うん……」

十八 甘えた→←十六 繋ぎ止めたくて



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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時

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