十三 再会 ページ13
近所のおばさんたちの話し声、子どもの笑い声、車の音、それらは全て馴染んでいたもの。
あの日以来、ここへ来たのは初めてだった。
「──……」
私の家があったその場所は工事のカーテンが張られ、取り壊し作業をしている最中だった。
そりゃ、あのまま買い手が見つかるはずもない。
周辺の表札は見慣れない名字に変わってしまっていた。
「なー、お前さ。前にここに住んでた女の子の話知っているか?」
仕事をサボって工事の人2人がトラックの前で駄弁っていた。
「あー、女子高生が無残な姿で家の前で亡くなってた奴だろ?口を塞がれたのか近所も何も気づかなかったんだってな。随分長いこと報道されてたけどいつの間にか忘れられてるし、犯人が捕まったって話も聞きやしない。……迷宮入りって奴だな」
「なんだ、知ってんのかよ」
「つい数年前の話だしな。もしかしたら成仏してなくて地縛霊としてまだここにいるかもなぁ」
つい聞き耳をたてているとオロチさんに繋いだ手を軽く引っ張られた。
「今日は暗くしたくない」
「そう、だよね……。ね、オロチさん。次はどこに行く?」
私はオロチさんの手を引っ張ってにこにこと笑ってみせた。
オロチさんはつられて笑顔を零し再び手を握り返した。
ふと覚えのある気配を察し、曲がり角をじっと見つめているとオロチさんは少しいいかと手を離してしまった。
その曲がり角から鼻歌交じりの声とともに姿を現したのはジバニャンさんだった。
「にゃにゃっ⁉オロチにゃん⁉しかもAも一緒にゃん」
ジバニャンさんはこちらへ駆け寄って来ると私とオロチさんの顔を交互に見た。
「2人と合うのは1ヶ月ぶり位にゃんね。仲良くやっているのにゃん?」
「……それなりに。桜と信も元気だ」
ジバニャンさんは仲良くやっているのかを私にも聞いた。
「……それなりに?」
するとジバニャンさんは絶対嘘だと私たちに疑いの目を向けた。
「2人だけみたいにゃんけど、今日はどうしてこっちに来たのにゃん?」
「桜と信は一晩預けた。親と離れることも必要だろう」
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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時