二百二十九 嘘 ページ29
姫さまは頑なに拒んだ。
だけど俺の意思は固く、少々強引なこともあったが常に姫さまの隣に居た。
最初姫さまは俺が居ないように無視をしていたが、何年か経ちたまに話しかけてくれるようになった。
「……本当物好きね。こんなことして面倒ではないのかしら」
「いえ、俺こういうの得意なので。それに姫さまが喜んでくださるのなら本望です」
「何を期待しているのかしら。私はあなたに何も与えられないわ」
姫さまは時折顔を強張らせていた。
「あなたがいると常に雨が降っているわ。もう雨を好む必要なんてないでしょう？」
「ですが姫さまを狙う者が居れば俺にとってはとても動きやすいです」
そう言うと姫さまはため息をついた。
「しばらくはここに誰も入ることはできないわ。過去の過ちなんて全て忘れてまっさらから始めたほうがいい。あなたという者がそうさせるなら、あなたに新しい名を授けさせて頂戴。そしたら過去のことは忘れるの。新しい名前でいちから生きなさい。……そうね、あなたと初めて会った時滝のような雨が降っていたわ。今もそう。"滝雨"なんて、安直すぎるかしら？」
それは俺が初めて貰ったものだった。
姫さまと1日に何度も会話をし、外の世界の話も数えきれない程した。
最初は無表情だった姫さまはいつの間にか表情豊かな方になっていた。
「……雨も悪くないわね」
寄り添う俺たちを邪魔するものは居ない。
そう思っていた。
いや、思わされていた。
「俺、姫さまのこと好いています」
そう言う姫さまはどこか悲しげな顔をしていた。
「……私も好きよ」
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年2月8日 9時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください！期待してます！ (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい！ (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります．．．！ (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年1月21日 21時
