『Tresor 』～Cinderella★Dream～ (ページ9)

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☆ ページ9

確か名前は二宮…とか言ったかな。

クマみたいな可愛らしい男の人に当たり前に膝枕をしてる。

ゲイではないと言うけれど…

どう見てもそこらのカップルよりも仲良さげ。

『ね、ねぇ？A？』

私の耳元で小声で話し掛ける絵里に耳を傾ける。

『うん？』

『…見つけた…。』

『は？』

『私の王子様。』

なにを私の妹みたいな事を言ってんのかと絵里の顔を覗き込むと頬を赤く染めてポーッと見惚れてる。

視線の先には…

二宮さん。

ではなく、その膝に寝転ぶマスコットのクマみたいな男。

申し訳ないけど王子様には全く見えない。

社長の方がまだ近いのではないか…。

恋を見つけたキラキラした目をする絵里にクスリと笑みが溢れる。

やっぱり『王子様』なんて言っていいのはこういう女の子。

まぁ…まだ中学になりたての妹と違って絵里の年齢を考えると若干イタさはあるけど。

和『なに？』

さすがに視線に気づいた二宮さんが訝しげにこちらを見てる。

和『俺に見惚れちゃった？参ったな。でもよくある事だから慣れてるんだ。』

本気なのか冗談なのか…。

『…自信過剰…。』

和『え？』

『いえ…なんでもないわ。』

地獄耳に心の中で舌打ちして、グラスの中のスパークリングワインを飲んだ。

和『そ。で？可愛いお嬢さんはどうしたの？』

『あ…あの…その…。』

モジモジと恥ずかしそうにする絵里に二宮さんの目は意味ありげに細められた。

やっぱり男はこういう女の子が大好きだ。

最早、全世界の共通認識。

和『ん？』

確信犯なのかあざといのか小首を傾げてる。

自分のウリをよくわかってるなと関心する。

男も女も結局のところ、あざといヤツの方が幸せになれる。

あざとい女は女には嫌われるけど、異性である男性には可愛いらしく思えるそうだ。

って事は逆もしかり…。

和『俺はあなたよりもそっちの綺麗なお姉さんに興味あるんだけどな。』

そう言われてさすがに絵里もムッとしたのか…

絵『私もあなた興味ありません。』

毅然と言い放った。

絵里は可愛いらしい外見とは裏腹に意外にもズバッと言う事は言う。

和『そ？このおじさんは俺が大好きだけど、あなたみたいな可愛いコちゃんも大好きだからイケると思うよ？』

にっこり笑って言った二宮さんに嫌悪感しかない。

こう…

俺って何もかもわかってます的な人間は好きになれない。

所詮、自分の言葉は自分にしかわからないんだから…。