『Tresor 』～Cinderella★Dream～ (ページ5)

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★ ページ5

入社式で目が合った女は…

今では俺の下に組み敷かれて…

強い快感に綺麗な顔を歪ませてる。

だけど、恋人とか彼氏とか彼女とか…

そんな甘ったるい関係ではない。

俺はそんな関係を本当は望んで手を伸ばしたけど…

『Aが望まないなら俺も望まない。』

そう言った俺に申し訳なさそうに困った顔をした。

くだらない言い訳とか建前は思いつくのに、真正面からAを抱きしめていい理由は全く思いつかない俺が出した精一杯な答え。

・・・社長のありがたいお言葉の後でパチリと目が合った女は、驚きに目を見張っていたけど見つめ合う事、2、3秒…

面白そうに笑った。

それなりに綺麗どころを相手にしてきた俺でも見惚れるくらい綺麗な女だった。

『噂に聞く俺様ね？』

『…あぁ。』

気の利いた返事もできない俺をクスリと笑って、

『まぁ…社長はあれくらいじゃないと。ナヨナヨした社長なんかの元で働きたくないわ。』

それはそれは希望に満ち溢れた目で社長の出て行ったドアの方を見た。

『随分と男前なんだな。』

『そ？強いオスに惹かれるのはメスの本能よ。』

『ククク。んな明け透けに。』

こんな女は初めてだった。

俺の周りには大抵、猫撫で声で『かずくぅ～ん』って香水臭い身体を擦り寄せる女か…

自立心もなく、とにかくスペックの高い男を捕まえて左団扇の生活を夢見る女ばっかだった。

まぁ…ある意味、この女も強いオスとやらに惹かれるって事はメスの本能とはそういうモノなのかもしれないけど、この女は男にに寄り掛かって生活していきたいなんて微塵も思ってないであろう。

今、初めて会ったばっかりの女だけど、なぜかそう確信した。

それも俺の勘か…

オスの本能か…。

『アナタのお名前は？』

『人に名前を聞く時はまず自分から…でしょ？それが紳士のたしなみじゃなくて？』

意味深な横目を俺に向けてくる。

『参ったな。俺がここまでやり込められる事って滅多にないのに。』

『随分な自信家ね？でもそういう男も嫌いじゃないわ。』

『お褒め頂きありがとう。』

『あら？嫌味じゃないのよ？本心よ。』

掴めない…

全くと言って掴み所がない。

でも…

そんな女も…

『…嫌いじゃない。』

『ん？何か言った？』

『いや…俺は二宮和也。部署は違うだろうけど、同期としてこれからよろしく。』

差し出した俺の右手に綺麗な白い手が重ねられた。