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Ryo side
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別の店員さんに二人分の料理を運んで来てもらって少し待っていると、ふわりとしたレースのスカートを履いたAさんが見えた。
「あ、お待たせしました。食べていて良かったんですよ」
「ありがとうございます、さっき来たところだから大丈夫です。
スカートだとイメージ違うね、可愛い。」
さらっと飛び出た本音にまずい、と口を塞ぐとAさんの顔が見る見るうちに真っ赤に変わる。
手で仰ぎながら、ありがとうございます、と声に出した彼女が可愛くて思わずにやけてしまった。
食べながら話をしてる内に敬語がもどかしく感じたので取ってもらう。
…本人なのか気になるから、と自分の中で理由を付けて小さい頃岡崎にいた?と口に出してみる。
「!何で知って」
「…やっぱり。
ね、俺の事覚えてない?」
隣の席でずーっとちょっかい出してたやつ、と付け足して目を見るとぱ!と表情が変わった。
「え、ええ?福尾くん?」
「そうそうそう!」
「え!凄い偶然だ〜」
大きい目をさらに大きく見開きながら嬉しそうに笑った。
ビンゴ。
俺の初恋の子で間違いないみたい。
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「目、綺麗だねって言われたの今でも覚えてるよ。」
突然懐かしむようにAが口に出した。
そう、俺らが仲良くなったきっかけはそこだ。
人と違う目に魅せられて、今となっちゃ口説いてるんじゃないかってくらい甘い言葉を口に出したのを思い出す。
「“地球みたいで綺麗な色だね”」
「!」
覚えてたの?と頬を染めながら視線を下げる。
そりゃそうだよ 俺がその時唯一伝えられた本音だから。
幼いなりに本気で好きだった。
…今でも忘れられてないなんてまだ好きなのかもしれないけどね。
心の中でそんな訂正を入れつつ昔を思い出しながら夕暮れ時まで話し込んでしまった。
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「わ、もうこんな時間!」
「話し込んじゃったね、懐かしすぎて」
相槌を打ちながら帰り支度をする。
扉を開けて外にエスコートすると不思議そうに会計は…?と訪ねてきた。
「お礼だからいいよ」
「え 悪いよ…!」
いいのーと背中を押す。
もう少し一緒に居たい。
駅まで送るよと声をかけて歩き出す。
「Aちゃん」
「ふふ、前みたいに呼び捨てでいいよ」
「A、また会える?」
「勿論。」
笑みを浮かべるAに気付いたら愛の言葉を囁いてた。
「A、好きだよ」
遠回りをして、再び回り始める。
___ / end
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Chance
―― 再び動き出す恋の好機
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フラワー(プロフ) - 更新お疲れさまです。そして続編おめでとうございます。これからも頑張って下さい! (2019年7月3日 15時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - お忙しい中、お返事ありがとうございます!全然大丈夫です…!続編での更新楽しみに待っております…よろしくお願いします! (2019年5月27日 10時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 遊馬さん» 返信ありがとうございます!続編でも構いません!待っています。現在のお話もすごく楽しみにしてます! (2019年5月27日 1時) (レス) id: e2ae3a79dd (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - はじめまして…全て読ませていただきました…すごく癒されました…私もリクエストをお願いしたいのですが、てつやの献身的な彼女のお話が読みたいです。あやふやですみません…虫さんの献身的な彼女のお話が好きなので…これからも応援しております。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - リクエストありがとうございます!!すごくよかったです!!難しくざっくさていたのにありがとうございました。 またよろしくおねがいします! (2019年5月26日 21時) (レス) id: 2cd07c1461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2019年4月24日 14時